今(現時刻)でも宇宙の構造は決まっていて、宇宙の果て(?)では何かが起こっていているはずです。しかしぼくたちはそういったことについて、よく理解しているとは到底言えません。宇宙で何が起こっているのか、宇宙はどういう構造なのか、宇宙はどういう進化の道を辿ったのか、この先どうなるのか、……そんなことを研究する物理、天文学の一分野が宇宙論です。入門書(啓蒙書)はいいのがたくさんあって、『宇宙創成(上・下)』(サイモン・シン2009新潮文庫)を始め、佐藤勝彦先生の読みやすいものなど、選ぶのに迷うくらいです。興味のある人はよさそうなのを読んでみてください。ただそもそもこうした啓蒙書には、面白そうな事実の紹介、簡単な説明という目的があるんだから当たり前のことなんですが、あまりきちんとした理屈は書いてありません。例えばブラックホールについて書いてある啓蒙書はたくさんあるけれど、理論的な説明をしているものはないのです。
ブラックホールの説明には相対性理論が必要なので無理だけれど、話題によっては高校数学まででもいいセンいけます! 『天文の計算教室』(斉田博1998地人書館)を勧めておきましょう。
地球の構造、太陽系、銀河系、宇宙、月食、日食、歴史上存在したいろいろな暦。天文学の様々なトピックスを、計算で説明してくれています。「計算で」なのだから読むにはそれなりにエネルギーが必要ですが、その苦労に報いてくれる本です。あ、「なんで暦が?」と思ったかも知れません。暦は天体の運行と密接な関わりがあるのです。そもそも昔は天体の運行によって暦を知ったのでした。三角比を縦横に使えると読みやすいでしょう。球面三角法が出てくるけれど少しだしその都度説明されるし、大丈夫。トピックひとつで数ページなので読みやすいと思います。ぼくはこの本で天体の位置計算、暦などに興味を持って別の本に進みました。