いぬおさんのおもしろ数学実験室

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DVD『ハインシュタイン・シャッフル』紹介

 カードマジックのテクニックの中にフォールス・シャッフルというのがあります。トランプひと組を切ったように見せかけるものです。きちんとしたフォールス・シャッフルを使えるようになれば、まるっきりの初心者向けマジックも1級の演目になります。例えば、トランプをあらかじめこっそりAAAA、2222、3333、……などとセットしておき、フォールス・シャッフルすればよいわけです。露骨に上からAAAA2222……と開けて驚かせるだけではバレやすいでしょうから、流れの中で効果的に使うのがよろしい。ぼくはフォールス・シャッフルは4種類くらい使っています。

 今回紹介するハインシュタイン・シャッフルは、知らない人にはリフルシャッフルをしているようにしか見えません。リフルシャッフルとは、トランプひと組を半々に分けて両手でそれぞれを持ち、パラパラッとかみ合わせてから手の中にザーッと落とす、TVでもマジシャンがよくやる切り方です。ハインシュタイン・シャッフルはこのシャッフルを模しています。見た目も音も通常のリフルシャッフルに近く、大変優れたテクニックです。ぼくは今まで生徒の前でこれを何百回も実行していますが、「おかしい!」などとつっ込まれたことはありません。角度にも強く、180°、どこから見られても問題なし。ハインシュタイン・シャッフルでは特に音が大事なのだと思います。例え、見ていて「あれっ、怪しいぞ」と思っても、シャッフルの音を聞かされて「いや、ただ切っているだけだ」と考え直しそうです。

 ただ、使えるようになるまでにはそうとう時間がかかりました。正味で100時間や200時間かそこらは練習しているはずです。ぼくだけというわけではなく、マジックの好きな同僚の先生も「難しかった」と言っていたので、そう感じる人が多いのかも知れません。念のため、「使える」というのは観客の前で100%、失敗せずに自然に見せることができる状態を意味しています。それでも手に入れる価値のあるテクニックだと思います。

 DVDでは素晴らしい演目も紹介されています。『ハインシュタイン・トライアンフ』と言います。

 マジシャンはトランプを切ります。観客に1枚選ばせ、憶えてもらいます。そのカードを戻してもらい、いったん切ります。そしてトランプひと組を半分ずつ表、裏にしてシャッフルしてしまいます。表、裏、表、裏、……となっているはずですが、開いてみると1枚を除いて全部裏になっています。表を向いた1枚はさきほど観客が選んだカードです。しかも、他のカードはスペードのA、2、3、……、K、ハートのA、2、……と完全に順番通りになっています!!

 単純なプロットだからこそのメチャクチャな破壊力、「コイツはただ者ではない」と思わせる抜群の演目でしょう。

 

 ぼくがDVDを買ったのは10年以上前です。以降、このフォールス・シャッフルは信頼できるテクニックのひとつとして愛用しています。現在、Amazonでは中古?ならあるようです。