著者によると17世紀以降と以前とでは自然に対峙する姿勢、意識が大きく変わり、自然科学がぼくたちの考える自然科学に近くなったのだそう。それでこの本では17世紀以降の科学史についてまとめてあります。 17世紀、18世紀、19世紀の前後半、20世紀の前後半と章が分かれています。「天文観測家ティコ・ブラーエ没」、「フランクリン、雷の正体を解明」、「ラザフォード、地球の年齢問題について言及」、……といった感じに科学者たちがどんなことをしてきたのか、考えてきたのか、様々なエピソードと一緒に書かれています。当時の人々の自然科学に対する考え方なども書いてあり、ひと通り読めば科学史全体のイメージをつかめると思います。ひとつの話が1ページ前後で読みやすいです。寝る前などにいくつかずつ読むようにしています。
何回か近いことを書いていますが、現代文の先生がいろんな小説の紹介をしてくれるように、物理の先生、化学の先生も(専門的な内容はもちろんですが)本を紹介して欲しいと思います。こういう科学者がこう悩んでこういうできごとがきっかけでこうなった、この本に書いてある、みたいに。ぼくが生徒ならこんな話をたくさん聞きたいと思うでしょう。管理職も多くの生徒も、一番の要求は「わかる授業を」です。大事なことです。でもそればかりだと面白くない。せっかくの機会、先生しか知らない話をたくさん聞かせて欲しいのです。「本を読みなさい」と言うにしても、ベストセラーだとか有名な本だからと言ってよい本とは限りませんし、経験者がある程度本の選び方を教えるのがよいと思います。その後は自分で選んで読むようになるでしょう。
コロナ騒ぎで学校での勉強の時間は減っています。終息してからきっとドタバタ忙しくなることでしょう。「余分な話などしていられるか」となります。それでも大事なことだと思うんですが……。