タイトルの通りです。連立1次方程式の解法なのですが、実際にこれを使って解いたりはあまりしないでしょう(行列式を求めるのが面倒だから)。しかし、知らないと線形代数の各種定理の証明などですぐ困る、そういう定理です。
まず復習から。
とします。この行列Aに対し、各成分の余因子というものを定義するのでした。例えば
のことです。下のように、対応する成分を含む行、列を除いた行列の行列式に+かーの符号をつけたものです。
また例えば、
このとき、行列Aの行列式Dは、Aの第1列で展開すると
と表されるのでした。復習はここまでです。
さて、次の連立方程式を解きましょう。
を得ます。ここで、
これが次の行列式(を第1列について展開したもの)に一致するからです(同じ列が含まれるとき行列式は0)。
また④の右辺は
ですから、結局次が成立します。
ただしD≠0としました。他の変数も同様ですから、次の定理が証明できました。
うまくできている証明で、初めて見たときには「おお、これはスゴイ!」と思ったものです……。