いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

3×4、4×3のどちらが正しいのか?

 「先生にバツにされた!」とかネットで時々話題になっています。4人にあめを3個ずつ配るとき、全部で何個、あめが必要か。3×4か、4×3か? 3個のあめを4人分なんだから3×4が正しい?
 故・矢野健太郎先生(数学者)がエッセイに書いていました。矢野先生が微分幾何のちょっと面白い定理を思いつき、それが正しいかどうか夢中で検討していたときのこと。ラジオの放送局から電話がかかってきて「(上のような状況で)3×4か、4×3か、どちらが正しいんでしょうか?」と聞かれたのですが、イライラして「どっちでもいいんじゃないんですか」と答えてしまったのだそうです。そうしたら「では2時間後にラジオで放送しますから、その理由を話してください」と。矢野先生は慌てて考えたあげく、「4人に1個ずつ、あめを配る。再び4人に1個ずつ配る。……これを繰り返せばよいのだから、4×3でも正しい」という解答にたどり着きました。
 あるいは、どっちにしたって交換法則(a×b=b×a)が成り立つんだからいいでしょ、という答えもあるでしょう。実際に矢野先生の答えのように考える子どももいるそうな。「3×4でなければダメなのだ」という理屈もあるみたいですね。教育学っぽい感じの。
 後日、矢野先生が恩師の遠山啓(ひらく)先生(数学者・教育学者)にこの話をしたところ、「カード式配り方」と呼び、我々の間では有名なのだ、と言われたそうです。確かにトランプならまず全員に1枚ずつ配り、また全員に1枚配り、……とやりますよね。

 ぼくとしてはラジオの話など面白いと思うんですが、放っておくとこの話もいずれ知る人がいなくなってしまいます。とりあえずブログに残しておこうと考えました。数学史にはこういった話がたくさんあります。なるべく書いていきます。

 さらに……もっと難しい、面白いことが数学ではたくさん出てきます。どうせ悩むならそちらで、がよい気がします。先生方は子どもに楽しい話をしてあげてほしいと思います。