いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

教員の仕事を減らす話

 高校では生徒が問題を起こしたとき、場合によっては謹慎処分にしたりします。例えば喫煙が発覚したら5日間の自宅謹慎、とか。学校によりますし多分明確には決まっていないこともあると思うんですが、経験では5日の謹慎なら最低2回、できれば3回くらい家庭訪問していました。担任や、学年の教員が2人組で行きます。これについて何かの機会に「本来毎日行くものなのだ!」と言った人がいました。生徒指導を達者にやり、強面(こわもて)の先生です。ぼくはそれを聞いて「いや、そんな話はないでしょ?」と言いそうになりましたがやめておきました。

 こんな感じの主張をする人がいて、例えばこの場合「多分その方がよいのだろう」という気はします。一見正しそうなだけにもっともタチが悪い、と言えそうです。こんなことを真に受ける人が増えると教員が大変なことになるのです。この手の「これをやった方がよい」ばかりで教員の仕事が増えてきたのだ、ということを忘れてはいけません。学校でやる模試、補習(朝だったり!)、自転車の点検(カッパを持っているか、自転車にシールが貼ってあるか、……)、昼休みの巡回(教室、廊下。トイレなども回る)、毎日の「生活の記録」のチェック、……。要するに誰かが思いついて「やりましょう!」ということになり、仕事が増え続けるわけです。この辺、まず「明らかな効果がありました」という話は聞いたことがありません。効果はあるのかも知れないですが、「効果を確認しよう」という発想はなさそうです。文科省の指示で通知票のつけ方もいろいろうるさくなったようです。部活も誰か、顧問がいったん土日の活動、朝練などを始めてしまうと、もうやめることは難しくなります。次から次へとやらなければならないことを押しつけられ、どうにもなりません。「教師のバトン」で分かったはずです。

www.omoshiro-suugaku.com

 試験前の放課後、生徒が質問に来たりします。よく相手をしてあげるといいでしょう。これが正しい姿なのだと思います。今、ようやく「教員の仕事を減らすべき」という話が出てきつつありますが、全く改善されていないと言ってよろしい。「教えてください」「はい、教えましょう」が基本であって、寺子屋の頃はそうだったのでしょうが、それを超えてあれも、これも、……と始めてしまったのが誤りなのではないか……という気がします。教員のなり手を増やすため、文科省は採用試験の日程を変えたりしていますが、そういうことではありません。バッサリ、仕事を減らすのです。

 

 それに、何でもかんでもやるから、生徒や保護者の側も学校を単なる「サービスを提供する機関」くらいにしか思わなくなってしまって、その結果クレーマーみたいな人が増えてしまったんじゃないかな……。ま、これは少し違う話だけれど。