いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

写真からチェスボードを使って立体を復元(10)(8点法で2枚の写真から基礎行列Fを求める)

 

 Fは成分が9個ですから、「9点法」が正しいのでは?……と思うかも知れませんが、エピポーラ方程式を見るとFの成分が全部2倍になっていても成立します。いろいろなテキストでこういった事情を「Fのスケールは任意」と表現しています。例えばFの右下の成分を1に固定してよいのです。つまり、自由に決められる成分は8個しかありません。だから成分を制限する式は8本あればよいのです。そういうわけで「8点法」なのです。

 なお、ベクトルの成分は小さい数から大きい数までいろいろ混ざっています。こうしたとき、計算の誤差が大きくなります。だから、実際にパソコンで計算するときはそのための対応をした方がよいでしょう。方法はいろいろなテキストに載っていますので、参照してください。ここでは理屈の理解のため、もっとも単純な話をしています。

 

 手作業ではもちろんどうにもなりませんからパソコンを使います。Pythonのライブラリがありますから頼りましょう。個人的にはこうして固有値を求めたり特異値分解したり、行列のかけ算をしたり、……あたりは積極的にライブラリを使った方がよいと思いますが、理屈を分かっていることが前提だと考えています。肝心なのは「自分はこの辺の話を理解している!」と言えるかどうかです。Fをいきなり求める関数があるかも知れませんが、誰かに「どうやってFが求まるの?」と聞かれたとき答えられないようでは面白くないでしょう……。

 

追記

rank E = 2 については次の記事を参照してください。

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