いぬおさんのおもしろ数学実験室

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高校でツーブロックを許可して大丈夫なのか?

 ことによると自分が間違えているのかも……と思うこともありますが、校則について「簡単に緩めるとまずいケースがあるかも」ということを書きました。

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 次はツーブロック。ここのところ「許可すべき」という議論が盛んです。教育関係者で評論家のような先生(面白い記事を書いたりする!)もそういう主張をするのです。 確かに若いビジネスマンのツーブロックなど、スッキリしてカッコよい! そこだけ見ると学生だっていいんじゃないか……という気もします。

 しかしぼくは学校で「許可!」とすると面倒なことになりそうなケースが出てくると思います。ツーブロックというのは耳の近くはスッキリ短くする、あれですよね。ファッションですから、耳の上5ミリ……なんて正確に決められているわけでもないでしょう。無段階に変化をつけられます。耳の上1cm、2cm、3cm、10cm、20cm。てっぺんの直径3cmだけ残すとか。あ、「20cmなんて『ツーブロック』じゃないだろ」というのは通用しませんよ。どっち道、「じゃあ15cmならいいのか」という話になるからです。学校によってはそういう生徒が出てきても不思議ではありません。そのとき、教員はどうすればいいんでしょうか。多分「何cmでもいいよ」というわけにはいきませんよね。そういうときにいちいち対応するのは現場の教員です。「さすがにこれはまずいだろ」という髪型があるなら、「これならよい」という髪型との境界が必ず問題になります。そして、大抵「××君はいいのにどうして自分はダメなのか」という苦情が出ます。生徒にしてみればそう言いたくなるのは当然のことでしょう。

 ツーブロックはもちろん、髪型は何でもすべてよろしい、でいいなら迷いはありません。そもそもファッションなんだし、「法に触れなければよいのだ」という気もします。星形に髪を剃っても、スペードのAでもいいわけです。そう、日本中である日一斉に「何でもOK!」とやって、高校生の入社試験でハートだろうがスペードだろうが一切採用に影響しない、という保証が得られるならそれでもいいのかも。あるいは就職活動のときだけ「(今まで通りの)高校生っぽく」直せばいいかも知れません。ただその場合、採用する側、会社の人たちが「あの高校の生徒は日頃はこういうヘアスタイルで、今だけこうしている」と考えるのではないか……という心配はありますが。会社によるでしょうが、受け入れないところはあるでしょう。それが正しいか誤っているかではありません。現実、どうなのかということです。

 もうひとつ大事な心配が。上の「ブラック校則」の記事にも近いことを書きましたが、ツーブロックもOK」と校則を緩めていろいろな長さの生徒が現れたとして、そのとき授業を落ち着いて実施できる環境は守られているでしょうか。「校則を厳しくしたら学校が落ち着いた」という例はありますから、緩めたとき、そして特にその指導がうまくいかなくなったとき学校は荒れてしまうのではないか……と心配するのは自然です。

 どれも生徒指導が大変な学校の経験のある教員なら心配することだと思うんですが……。「現場の経験がない人間が簡単に言うな」とは思いません。教員が視野が狭くなっているかも知れないのです。しかし現場の人間だから分かることもあるのは確かでしょう。法律がどうとか、そんなことは分かっています。しかしそういう問題ではない、学校が機能を維持してゆけるかどうかが心配なのです。