いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

数学と物理の違い

 ぼくは高校では化学部で最初化学は好きだったし、1年の時には化学科へ行くつもりでした。でも有機化学の授業が始まると、「××を合成するには○○を△△すればよい」式の、「とにかく暗記しなければどうにもならない」みたいなのがイヤになり、ロクに勉強しなくなってしまいました。そう言えば、1年生の時に生物で遺伝の分野に入ったら「マメ型遺伝」とかいろいろ覚えなければならず(認識に誤りがあるかも……)、それが苦痛になりました。代わりに物理が面白くて、成績もよかったです。こちらは基本となる法則が数えるほどしかなく、そこからいろいろな事実や別の法則が自分で導けるなど、「覚えていなくてもその場で考えて勝負できる!」という感じだったのがよかったのです。しかしその物理も、法則の成立する理由が不明だったりして(無理もない。例えば万有引力の法則にしたって、なぜ成り立つのかなんて今でも原理はハッキリしていないでしょう……。あるいはハッキリしているのかもしれませんが説明はすごく大変、とか)それが気に入らない点でした。しかし数学は違います。基本、理詰めなわけで曖昧な点など全くありません(こちらも今にして思えば認識が甘かった……。高校数学にはごまかしがたくさんあります)。そういうわけで、数学科、応用数学科、物理、応用物理などいくつか受験しました。しかし受かったのは数学科だけで、偶然数学科に行ったということになります。結果論みたいなものですが、数学科でよかったかな、と思っています。
 数学科では証明していない定理は使いません(使えません)。いろいろ事情があってそうはいかない場合だってありますが、まあ基本そんな感じ。しかし工学などでは、これも場合によりますが比較するとかなり甘い証明(「ここの部分、本当に正しいと言えるのか?」とか)だったりすることがあります。「定理は使えればいい」という立場だし、しかしそれでも一応証明らしきことはしておかないと……というわけでそうなるのかも知れません。物理や工学では定理を証明すること自体が目的ではないですし、面白さは別のところにあると思いますからそれでよいのです。でも数学はそうはいきません。数学は、他に頼るもののない学問です。従ってどうしても証明は厳密にならざるを得ません。そうしないと他の学問が数学を拠り所にするのに不安でしょう。

 数学も物理も好きですが、最近は「数学を使って物理現象を説明する」みたいな話が気に入っています。面白い話がたくさんあります。