πの求め方について書きましょう。πの求め方と言っても、
1.どういう理屈でπが求まるのか
2.理屈はそうであっても具体的にどうやって求めればよいのか
と、問題は2つあります。ここでは1番目について、流れだけを書きましょう。
大学で勉強する微分積分にarctan x というのが出てきます。これはtan x の逆関数です。例えば
ですが、これをarctan を使って書けば
となるのです。arctanの読み方は「アークタンジェント」です。さて、このarctanに関して、次が成立します。但し-1<x<1です。
②でx=1とおいてみましょう。すると
を得ます。これと①を組み合わせれば
となります。今、②にx=1を代入しましたが、-1<x<1の条件を守っていませんよね。よいのでしょうか? 実はこの場合、許されるのです。アーベルの連続性定理というのを使っています。最後に出てきた式(あるいは③)は、ライプニッツの級数(あるいはグレゴリーの級数)と呼ばれています。
③はきれいな式ですし、右辺を計算してなんでπ/4の値が出てくるの!?という意外性もあり、人を驚かすには十分です。数学の啓蒙書っぽい本でもよく見かけます。でも②を導くのは結構大変で、またアーベルの連続性定理だけでもその証明は本で5,60行です。数学を勉強している人は「きれいな式だけど、そう楽なもんじゃない」と分かっているのです。