いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

本当の実力のつけ方は……?

 小学校でもプログラミングが導入されるなど、とにかく教育の世界の一部の人たちは新しもの好きです。これが正しいのかどうか、とりあえずおきましょう。意見はいろいろでしょうが、ちゃんとしたプログラミングの勉強を基本的なところから始めるとすると、例えばファイルのコピーあたりがいいと思います。ファイルのコピーなんて、エクスプローラかなんかでやればコマンドで一発です。自分でプログラムを書く必要などないとも言えます。しかしそれでは一体ファイルのコピーというのが何のことなのか、エクスプローラは何をどうしてコピーしているのか、コンピュータはどういう仕組みで動いているのか、永遠に分かりません。自分で書いたプログラムで実際に何かのファイルをコピーしてみれば「うわー、ホントにコピーされてるよ……(゚∀゚;)」と思うはずです。こういった経験が次の勉強の動機になるものです。
 話はガラッと変わるようですが、そうではありません、念のため……。今時の高校生は模試の結果の推移や学習時間の分析など、受験産業の人たちが作ったいろんな書類をもらっているはずです。勉強に対するそういうアプローチは、まあそれはそれで大事なものなんでしょう。だけど、それでも「なんだか違うよなあ……」という気がするのです。(高校生の皆さんには勧めないけれど、)ぼくは学生の頃からただの1回も受験した模試の解説を読んだことがありません。興味がありませんでした。だから解けなかった問題はそのままです。学校の進路講演会に来る受験産業の人の理屈からすれば「残念な受験生」ということになります。しかし、多少の効率の悪さなど問題にならないほどの「数学や物理が面白い!」という気持ちがありました。そういう動機で勉強しているときには実力がつくものです。そして、そういう実力が本当の実力というものなんだと思います。

 今はとにかく補習だ、授業確保だ、面談だ、……と過保護すぎです。ああしなさい、こうしなさい、と。同じ丁寧にやるんなら、好奇心を刺激する方向がいいと思います。