昔、20年か30年くらい前にはコピーツールというジャンルのソフトウェアがありました。記録メディアはフロッピーディスクというやつが主流で、直径5.25インチのものをよく使っていました。縦横13cmか14cmくらいです。しかも容量は1Mバイト、今に比べると隔世の感がありますよね。ちなみに当時ハードディスクも高く、40M(40Gでない、40M)で10万円とかの価格、それでも「おお、これは凄い、使いやすい!」という感じでした。ソフトウェアはこのフロッピーディスクで売られているものが多く、特にゲームにはコピープロテクトがかかっていました。コピーできないような仕掛けが施されていたのです。今では単純にコピーしても使えないようにする方法はいくらでもあるでしょうから(ネット経由で、買った人、本人であることを確認するとか)どうか分かりませんが、当時は「とにかくコピーさせないように頑張る!」という雰囲気だったと思います。今も昔も、開発者、クリエイターは自分たちが作ったものが商品なのだから、簡単に複製されてしまっては困ります。それでもコピーツールがあったんですね。プロテクトの仕組みを書いた本もいくつも売られていて、ぼくも何冊か持っていました。ディスクの構造など凄く勉強になり、なぜ通常のコピーコマンド(MS-DOSなどの)ではプロテクトがかかっているディスクではコピーできなくなるのか、そういう技術面は面白かったことを憶えています。自分でプログラムを書いて、例えば通常は8セクタしかないディスクのセクタ数を9セクタにして(ディスクは同心円状にデータが記録され、1周が8つの部分に分割されます。その1つ分が1セクタです)、コピーできなくなることを確認したりしていたのです。要するにプロテクトの実験です。他にもディスクのファイル管理の仕方なども勉強しました。この頃、いろんな理由でフロッピーディスクが読めなくなったりすることが結構あり、そういうときに知識が役立ちました。ディスクのファイル管理領域を調べて壊れている部分を直したりするのです。
面白かったんですが、さて、今はどうか? 理由は分かりませんがその類いの本は見かけませんし、それこそゲームや、その他の好きなプログラムでも書いていた方が楽しそうです。
同じプログラミングでもとにかく今は分野が多岐に渡っていて、何もかも、というわけにはいきません。昔は面白そうなこと、興味を持ったことは何でも勉強していましたが、年を取ると「こちらに時間を使った方がいいか、それともあちらか」みたいなことを考えるようになりました。あんまりよくない発想だとは思いますが「これをやっておくと後で役に立つ」と考えることも。勉強ってそういうもんじゃないよな、という気はしますが時間は有限です。仕方ありません。