いぬおさんのおもしろ数学実験室

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髪型の校則はブラックなのか?

 「ブラック校則」が目の敵にされていますね……。無意味だ、人権侵害だ、……。しかし単純に一律「ブラック校則は禁止」みたいにするのは危険だと思います。そもそも「ブラック校則」のちゃんとした定義などないでしょう。「この校則は無意味」と思ったらそれを「ブラック」と呼んでいる、なんてことはないですか?

 これに関してはとにかく現場の教員の話をきちんと聞いて欲しいと思います。生徒がああ言った、保護者の考えは、……だけではダメです。生徒はそりゃ自由にしてもらった方がうれしいでしょう。しかし、生徒にも保護者にも学校の外の人間にも、見えていないことがたくさんあります。

 髪型、髪の色、そんなものは人間の本質とは関係ない、外国では自由な学校がある。そういう言い分があることは承知していますし、ぼくもその通りだと思います。しかし、では今、高校で「髪型も色もピアスも自由だよ」とやったらどうなるか。学校によりますが、ことによるとそれまでなんとかなっていた生徒指導がメチャクチャになるかも知れません。具体的にはたばこ、その他の指導件数などが増えたり、一応成立していた授業もできなくなるかも。逆の、荒れていたけれど校則を厳しくして落ち着いた学校になった、という例ならいくらもあるでしょう。また個人的にも、服装頭髪のルールを厳しくする(守らせる)とその学年は落ち着く、という実感はあります。

 ルールを緩めてもう手をつけられない状態になったとき、元に戻すに要するエネルギーは大変なものでしょう。簡単に「ブラック校則だ!」とか決めつけて学校がメチャクチャになったときの責任は誰が負うんですか? 実際には大丈夫なのかも知れないし、そんな心配はない、と思う人もいるでしょう。でも、多分そう思う人は現場の経験はないのでは? 修学旅行先のホテルの廊下でサッカーを始めた生徒がいました。生徒指導の心配のない学校ならあり得ないことでしょう。だから髪を自由にしてはダメ、という根拠にはならないけれど、一事が万事なのです。校則が厳しい学校はまず髪についても厳しい。そこを緩めたときに生徒がどうなるか、それが分からないというなら想像力がなさ過ぎでしょう……。

 下着の色をチェック、とかはバカバカしいと思うし、人権侵害なのかも知れません。そんな校則はなくした方がいいでしょう。でも、今回書いたような意味で、学校の存続に関わるような校則だってあると思います。現場の詳細を知らない人たちが単純に「こんな校則はブラックだ!」と決めつけ、その圧力に学校が負けて、結果、学校自体がメチャクチャになる……という事態だけは避けなければなりません。