生徒に「授業のないときは何をやってるんですか?」などと言われます。「遊んでるんですか?」とも。違います、違います……。生徒はあまり知らないようですが、教員は授業だけやっていればいいというわけではありません。ふざけて「そう、コーヒー飲んでるんだよ」と答えることもありますが、真面目に「校務分掌というのがあって、……」などと話したりもします。
学校には授業以外の仕事もたくさんあるのです。日程の管理、時間割の作成、進路指導、生徒がケンカなどをしたときの指導、パソコンやネットワークの管理、……。教員にはこれらが仕事として割り当てられています(分掌と言います)。他にも学年の仕事や部活動もあります。教員の仕事は教えるだけではなくて事務仕事や行事や部活などいろいろあって飽きない、と言っていた先生がいました。そうかもしれません。仕事はたくさんあるのです。
「授業だけやっていればいいんだから楽」なんて言われたら、これは一応否定しておかなければなりません。そもそもその授業が辛いこともあります。教員だから全員常に授業が楽しみで仕方ない、なんてことはありません。言いたくはありませんが人間です、あまり合わない生徒がいることだってありますし、授業妨害などは論外ですがそうでなくても後ろ向きの生徒が多いと「なんで数学なんか教えてるんだろう」と思うことも。数学など嫌いな生徒が圧倒的に多い学校だってあります。
まあでも、そういうときでもさっきの分掌の仕事にも知的好奇心が満たされるものもたまにはあって、救われます。時間割の作成や入試の仕事など、ある程度知識が必要な仕事は面白いこともあります。ぼくは何回か教えてもらって仕事して、割と早く飽きましたが。あるいは、文化祭などは生徒と一緒に何かしたり、(大変ではあるけれど)楽しいものです。要するに授業だけではないし、その授業も楽でないことだってあり、他も仕事も大変なものや楽しいものもある、そういうことです。
ちなみに……教員は専門の教科がありますが、教科が同じだからといってみんな仲良し……というわけでは全くありません。どんな仕事だって面倒くさい人間関係はありますし、つまらないことを言われれば呆れます。数学の教員だからさっぱりしているわけでもないですし、論理的なわけでもありません。だから「授業をやっていればいいんだから楽」なんてことはないのです。ついでに、数学の先生だからといって、いつも数学の話をしているわけではありません。「こういう問題があるよ」とか、教員同士で面白そうな数学の問題を出し合ったり、議論したりできる雰囲気の学校もありました。しかし全然興味なさそうな感じの人もいて、そうなるとぼくはあまり面白くありません。せっかく数学の教員をやっているんだから勉強して生徒に還元してやればいいと思うんですが。教科でも会議が定期的にあります。和気藹々……ならいいんですが、本質を外した議論ばかりピリピリした感じでやっているとイヤになります。それでも最近はいろんな人がいた方がいいのかも、という気もしていますが、やはりくだらない話は勘弁です。
とにかく分かっていただけたでしょう。授業だけではなく、大変な仕事だってあるのです!
今は高校は期末試験の時期ですね。先生も生徒もお疲れ様です。若い頃はよく試験の日の午後は教員同士で連れだって遊びに行ったり、昼ご飯を食べに行ったり、楽しくやっていました。生徒指導が大変な学校だったということもあり、そうしなければやっていられなかったのかも知れません。イヤなこともたくさんあったけれど面白いこともありました。教員を始めて結構経ちますが、最近は昔のことをよく思い出しています……。