いぬおさんのおもしろ数学実験室

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書籍『テンソル 科学技術のために』紹介

 ここのところ、ずっとこれを読んでいます。全部で202ページ、そのうちの182ページまでたどりつきました。素晴らしい本でした。一般相対性理論に必要なテンソルの勉強です。

Amazonのレビューを見るとよい評価、あまりよくない評価いろいろのようですが、個人的にはテンソルについて書いてある本の中では一番分かりやすかったと思います。物理の本にもテンソルについては概要が書いてあったりしますが、それだけではぼくはなかなか理解できず、とにかく丁寧な説明が欲しかったところで、本当に助かりました。

 レビューの指摘の通り、いくつかミスプリがありましたが、一応前後から理解できます。共変成分、反変成分のあたりは解説を読んでスッキリしました。初めてで分かりづらい説明だと「これ、一体何?」となるところだと思いますが、明確に書かれています。『物理のためのベクトルとテンソル』も評判がよいので買いましたが、確かに図解なども豊富で分かりやすい部分もあるのですが、↓

個人的には短い式でズバッと書いてある、今回紹介している『テンソル』がありがたかったです。共変微分についても、(大事だけれど分かりづらいところの代表みたいな感じらしいですが)「直交座標から曲線座標に変換する際に基底を入れ換えたとき∇φ、∇などがどう表されるようになるか」というだけのことなのだ、ということが説明を読めばはっきり分かります。唯一、不安だったのがテンソル積の記号、

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のところで、もっと説明が欲しかったと思います。しっかりした人が読めば分かるのかも知れませんが。でも使われている(証明に)のは一部ですし、ムリしてそのまま理解できなくもなかったのでよしとしました。他の本で補うつもりです。

 慣性テンソル、応力などについて書かれている部分は飛ばして読みました。問題なさそうです。また、この本は演習問題が載っていません。全体像を急いで捉えたいときにはその方がいいこともあるでしょう。その後、余裕のあるときに別の本で細かなことまで勉強できればそれでよいわけです。演習問題が載っている本で困るのは解答がない場合です。載っていても略解だったり、全ての問いの解答はないことも。こうなると特に独学の初学者は勉強のしようがありませんが、もちろんこの本ではそういった心配はありません。薄い本ですし、持ち歩くときのストレスもなし。買ったのはもう何年も前で、何回か途中まで読んで止めて、を繰り返していましたが、今回はがんばりました。

 

 勉強しているのは一般相対性理論のためなんですが、テンソルは他にも物理であちこちに使われるようですし、ベクトル解析なども勉強し直すよい機会です。ヘンな話ですが苦もなく添え字がたくさんついている式をサラサラと書けたらカッコいい!……気もします。あとひと息、この休みになんとか読み終えるつもりです。