いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

これでいいのか、進路講演会!?

 高校では進路行事として「進路講演会」みたいなのが年に何回かセットされています。生徒は参加しなければなりません。教員が話す場合も業者の人が出てくることもあるし、保護者も参加できたりする場合も、会場が体育館のことも近くのホールのことも、と色々です。仕事ですから一応ひと通り出席して話を聞きます。……しかし、何度聞いても内容は基本的には一緒です。さすがに受験直前くらいには「この大学のここは狙い目です」など、なんだか良さそうな話も聞けますが。あ、「狙い目」とは「今年は受かりやすい」という意味です。大抵は「部活は続けましょう。そういう生徒は引退してから伸びます」、「2年生の3学期は3年生の0学期」、「7:00、17:00、21:00の3つの時間には勉強しているように」、「靴をきちんとそろえましょう」、「机をきれいに片付けましょう」、「2年生の6月に受験勉強を始めれば第1志望の大学に受かる確率は6割」……。もうどこかで聞いたような話ばかり。話している本人は「これでよい」と納得しているんでしょうか……?

 そういうときに「この時期、こういう小説を読みましょう」、「本屋さんのこういう棚にはこういう数学の本が」、「受験にばかり振り回されていないでこういう勉強の仕方を」といった話はただの1回も聞いたことがありません。靴をそろえる話だって、たまに聞けば気分転換くらいにはなるだろうからいいけれど、そんなのではなく、もっと勉強することの本質に迫る話はできないのでしょうか……。「進路」講演会なんでしょ? その辺、業者の人の話もたいして変わりません。業者の人は業者の人なりの進路の捉え方があるはずで、それは「靴をそろえましょう」ということではないはずです。いい話、聞かせてくださいよ……。まさかそういう話しかできない、ってわけでもないでしょう。1回や2回ならいいけれど、もっと夢のある「進路」講演会にならないものでしょうか。

 今は受験産業が学校教育の中に入り込んでいます。昔は違いました。例えば模試など、生徒が勝手に本屋さんや予備校などに置いてある申込書を書いて受験していました。情報も友だちから「今度××模試あるから受けるだろ?」みたいに教えてもらったり。もちろん今でもそういうのはあるのでしょうが、それとは別に年間に何回か、学校が実施する進路行事として決まった業者の模試を受けさせるのです。模試の結果は同じフォーマットで同じ基準で出てくるから、教員も受験指導しやすい、というメリットは確かにあります。どういう契約なのかとか、その辺は知りませんがその業者さんが講師になって講演会に来てくれます。学校で実施する模試では生活調査のようなこともしたりして、するとどうしても「何点取ったらどの大学」とか、「勉強時間が1時間以下の生徒が7割」とか、データを使っていわゆる受験指導っぽい話をしたくなるんでしょうか。

 教員も業者の人も、年に何回もある講演会、いい話をしてあげればいいのに……。