いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

「重複解」、「重複組み合わせ」はどう読むか? 「伏線を『回収』」?

 数学に重解というのが出てきます。例えば2次方程式の解が1個のときなど、もともと2個だった解が一致したのだと考えて、重なった解、重解(じゅうかい)と呼ぶのでした。では「重複解」はどう読むか? 試しに……と周りの人たちに聞くと8割が「じゅうふくかい」。「重複組み合わせ」も「じゅうふくくみあわせ」。驚きました。いや、根拠があるわけではないのですがぼくはずっと「ちょうふく」だと思い込んでいたのです。辞書を調べるとどうやら「ちょうふく」が正しそうです。生徒には「ちょうふくが正しいよ」と話しています。「『解』という言葉があるから『じゅうふく』と言いたくなるのでは?」と言う生徒もいました。そんなところなのかも知れません。

 「言葉は時代で変わる。どれが正しい、というのは簡単には言えない。古いものが正しいということでもない」みたいなことを言う人もいます。それはそうかも知れないですが……。ブラックバスなどの外来魚とか、外来植物とかが増えてもともとの生態系が崩れたりしていますよね。なんとかしたいと思うのが人情でしょう。「生態系は変化するものだ」というのは真理なんでしょうが、それでも抵抗したい気持ちはあります。同じことなのです。

 数学の用語ではないですが気になる言葉があります。「伏線の回収」です。伏線とは……小説家の阿刀田高氏が著書の中で例を挙げて説明しています。推理小説の中で、ある晩に雪が降っていたかどうかが重要で、しかしそれを読者に「その晩は雪が降っていた!!」と文章で書いてしまうとまずい、後で「ああ、そう言えば雪が降っていたよね」と納得させたい、というとき。「××氏は玄関先で肩の雪を軽く払い、……」などと何気なく書いておくのだそうです。これが伏線。この「伏線」を使った言い方で「伏線を張る」まではよいのですが、最近(?)「伏線を回収」をよく見かけるのです。ネットを調べてもこれが正しいとか誤りだとかいう議論は見つかりません。ぼくは違和感があって使いませんが、金田一先生など有名な国語の先生が一刀両断、きちんと説明してもらえないでしょうか……。