前回もそうですが、「’」(ダッシュ)付きの記号はx’y’系で観測される位置、速さ、加速度に付けています。気をつけましょう。さて、
なのでした。ここで、左辺はx’y’系で観測される加速度、右辺の第1項はxy系で測った加速度をx’y’系で測ったものです。物体(点P)の質量をmとして両辺にかければ
……★
となり、左辺はx’y’系で測った力、右辺第1項はxy系から見た加速度をx'y'系で読み直したものに質量をかけたもの、右辺第2項がコリオリの力、第3項が遠心力です。遠心力の方は分かりやすいのです。遠心力はx’y’系での物体(点P)の位置ベクトルを実数倍したものですから、原点からその点に向かう向きだというだけです。問題はコリオリの力です。平面で考えて、まあこのままでもよいのでしょうが、憶えやすそうな表現があります。外積を用います。
外積は3次元ベクトルと3次元ベクトルの計算で、3×3行列の行列式の分かる人は次で理解できます。外積 [a, b, c] × [a, b, c] を次で計算するのでした。
行列式が分からなくても、次でOKです。成分のa,dを余分にひと組、右側に書き足します。3カ所で2×2行列の行列式を計算をします。計算の順に気をつけましょう。
図形的には下を見てください。 p × q = r です。p から qに時計回りに回して、右ネジの進む向きのベクトルが外積rです。
ここから、ベクトルを横書きにしてしまいます。こちらの都合です。
なので、★の右辺第2項、コリオリの力は上のように書けます。空間のベクトルですが、z成分が0なのでx’y’平面に乗っています。なお、[0, 0, ω] は角速度ベクトルと言い、左下の図のようにx’y’平面と垂直(外積と同様に向きを定義)です。この ω を使うと右下の図のようにコリオリの力の向きが分かります。
遠心力は回転する円板上で人が止まっていても働きます。しかしコリオリの力は違います。円板上を歩くなど、移動していないと働かないのです。そしてその向きは外積の向きになります。左回りに回っている円板なら、円板の上を歩くとき右手の方にコリオリの力が働きます。
こういうのを見ると数学の力はやはり凄いと感じます。向きはもちろん、大きさまで計算できるのですから。