タイトルの通り、イギリスのパブリック・スクール(と日本の名門校)の成り立ち、教育について分かりやすく書いた本です。パブリック・スクールがどんなものなのかほとんど知らなかったので読んでみました。大変面白い本でした。
日本と同じようにイギリスにも私立の学校はあります。これを独立学校(Independent School)と言います(知りませんでした!)。イギリスには2600校ほどあるそうです。そのうちの1割くらいがパブリック・スクール。パブリック・スクールは中世のグラマー・スクール(文法学校)を前身とします。どうも定義ははっきりしないようですが、最も狭義にはそのうちの9校、「ザ・ナイン」と呼ばれる学校を指すようです。これにはイートン校、ウィンチェスター校、ハロウ校などが含まれます。日本で言う中高一貫校で、寮から通う決まりのところが多いようです。映画『ハリー・ポッター』に出てくる寮生活のシーンはまさにパブリック・スクールそのものだそう。あんな素敵な雰囲気なんですね。学校によって特徴というか教育方針は色々で、難関大(オックスフォードやケンブリッジなど)にたくさんの学生を進学させるというのは二の次です(難関大へ進学する学生は多いですが)。人格の育成、リーダーの育成、学業以外にも知的な興味を持たせる、グローバル社会で活躍できる人材を育てる、……といった目標があります。日本でもあちこちで聞く「目標」ですよね。でもこの本を読むと単に形だけ「目標」を据えているのではなく、彼らは本気なのだと分かります。学生たちもその気です。本にはザ・ナインでどんな教育がなされているのか具体的に書かれていて、雰囲気を味わえます。ぼくはこの感じを求めて読み始めたのでよかった!! イギリスで中高一貫でみな賢く、立派で……となると、ぼくなどとは全く異なる学生たちなんだろう、と思いますが、研修みたいな機会でもあれば経験のために行ってみたい、という感じです。パブリック・スクールについて書いている本は他にもあり、読んでみたいと思いました。
海外に行く=世界が広い……とは思いませんが、日本の中高生はこんな本を読んで「自分が当たり前だと思っているのとは違う世界がある」と気づくのは大事なのではないでしょうか。