高校1年で、実数、無理数といった話が出てきます。無理数とは「整数/整数の形に書けない数」。それでもいいですが、あるいは「循環しない無限小数」と言ってもいい。循環する無限小数は有理数になってしまいます。教科書などの問題にもあるとおり、例えば
x=1.2345345345……(循環節が「345」)……①
だとすると、
10000x=12345.345345345…… ……②
10x=12.345345345…… ……③
ですから②-③より
9990x=12333
となり、x=12333/9990、つまりxは有理数です。循環する無限小数はこの方法で「整数/整数」の形に書けます。しかしそうなると循環しない無限小数はどうなるのか。もちろん実数ですから、結局「循環しない無限小数は無理数」となるわけです。しかし、じゃあ例えば√2は循環しない無限小数だということを直接に示せるかというと難しいのでは? つまり、「ああ、確かに循環していない!」と見て納得できないのではないか、ということです。
そこで、次のような数yを考えましょう。
y=1.01001000100001000001……
0の並ぶ個数が1ずつ増えています。この実数は明らかに循環小数ではありません。ということは無理数です! もちろん、z=2.020020002……でもOKです。あるいは時々別の数を混ぜても大丈夫。√2が無理数であることは教科書にも載る証明法(√2が「整数/整数」であるとして素因数2の個数などについての矛盾を導く)でもちろん分かるのですが、具体的に小数第20位が何か、といったことには答えられません。循環していないことが直に分かるわけではないのです。
生徒には「循環しない無限小数を考えてみて。でも1.41421356……じゃだめだよ。『……』の部分が何だか分からないでしょ。ちゃんと『絶対に循環していない』と人に説明できるようなものを考えて」と聞くことにしています。