いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

タブレットで勉強になるのか

 アナログ人間と言われそうですが……。今時ですから、テキストを自分のタブレットに入れておいてそれをテキストとして使う、なんてよく聞く話です。ぼく自身は理系の人間で、PCは人並み以上に使っているはずです。しかし勉強はすべて紙。プログラミングなんかはもちろん画面上で見ながらコードを打ちますが、特にデバッグはプリントアウトしてマーカーと赤ペンでやっています。プログラミングはそもそもPCで動きを見ながら作業するのですから他と同列に考えることはできませんが、数学や物理の勉強もやはり紙のテキスト、ノートです。移動のときも持ち歩きます。確かにタブレットなら軽いし、場所も取りません。移動も楽です。何十冊でも入るでしょう。しかしそれにもかかわらずテキストは紙でなければ……と思います。どうしてかな……と思うんですが……。

 多分、慣れの部分も多いとは思います。小さい頃から紙の本に囲まれて紙の本で勉強していたわけですから。しかし冷静に考えると次のようなことでしょう。紙の本のメリットです。これはそのまま、タブレットでできないことです。

 

●書き込みできる。タブレットでもマーカーを引く、書き込むくらいできるでしょうが、ペン1本でサッと好きなところに好きな大きさの字で書き込める手軽さはありません。3ページ前のどこかに書き込むなどもストレスなくすぐにできます。

●曲がる。丸めて片手で持って読める。ときどき持ち方を変えられる。タブレットは曲がりませんから、平面状のものをずっと持っていなければなりません。ぼくは結構これが苦痛です。

●2ヶ所を並行して読める。「あそこはどうなってるんだっけ?」というときなど、今読んでいるところに指を挟んだり付箋を入れたりしてパラパラめくって探せる。見つかったらパッパッと交互に見ることも簡単。3ヶ所でも同じです。タブレットにはできません。いや、付箋だってあるし画面の分割くらいならできるかも。問題はどちらの方が楽か、ストレスがないか、ということです。

●付箋を入れられる。入れ方を変えられる。例えば一時的に何回も参照したいところには本の外に大きくはみ出るように貼るとか。本の何ヶ所かを同時に調べているときなど特に楽です。本の小口(開くところ)側に貼るか、天(本を立てたときの上側の部分)側に貼るか、斜めに貼るか、どのくらい本の外に出すか。それらの意味を自分で決めて参照の役に立てられる。付箋の相対的な位置もひと目で分かる。付箋にも書き込める。どれも、タブレットなら付箋の色も自由でしょうし、検索の機能なんかも充実しているから同じようなことを実現できるかも知れません。問題は楽に実行できるかどうかです。

●パラパラっとめくれる。パラ、パラではありません。一気に、です。「ああいう図のあったところはどこだっけ」「あの公式が書いてあったところは」など、何となく内容を確認しながら探す、というようなことを考えています。あの辺だけをパラパラッとやりたい、とかも自由です。タブレットでも、そういう機能を実現するようにはできるでしょう。ソフトウェアなのですから、そういうふうにプログラミングされていればよいのです。知らないのですが、今、できませんよね?

●指やペン先で押さえながら読める。そこに注目しながら読み進められます。いちいち付箋を貼るまでもないときです。手軽にできます。タブレットだとタップは操作上の意味がありますから、うまくありません。

 

 もっと、「紙でないと頭に入りそうにない」とか「紙の本を手に持った感触が欲しい」など、より感覚的なことも言いたいですが、タブレットを推す人は納得しないでしょう。でも上に挙げた点はどうでしょうか。不便かどうかなので、ぼくはこれらが解消されたらある程度タブレットに移して使うようになると思います。ペーパーレス社会とか言うけれど、会社でも「完全にペーパーレスにすると効率が悪すぎ」と考えるところもあるそうですね。楽にめくったり、あちらの束とこちらの束を同時に見たり、……さっき書いたことと同じでしょう。そうしたことがクリアされればペーパーレスもいいですが、それは多分まだ先です。

 そういうわけで、やはり紙の本です。自分で使いやすいならそれでいいのですが、今のところ、まだまだ到底タブレットは紙の本に及びません。