いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

画像処理の話(1)

 昔のTVの画像はアナログ信号で送信されていました。そのため送信途中で何かエラーが起こっても(ノイズが入るとか)直す方法はありませんでした。今(地デジ)はデジタル信号で、ノイズが入っても、入っていない信号を再送させたりして訂正できます(コンピュータ、ソフトウェアを使う。その訂正の限界を超えるといきなり見えなくなる。アナログ信号ではエラーがひどくなるとそれに応じてジワジワ画像が劣化し、だんだん見えなくなる)。年齢によっては、アナログ時代の「ゴースト(障害)」を見たことがないかも知れません。これは送信所からTVのアンテナまでに電波の届くルートが2通り以上あったりする場合に起こります(建物で反射して遠い道を通ってくるとか)。左の画像がまともなもの、右はゴースト障害が起こった画像。

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 ……というか、実は右は「VTR調変換」と言って、通常の画像に細工をしてゴーストっぽく見せたものです。方法は簡単で、正常な画像を2行毎くらいに左右にずらしながらコピーすればできあがり(もちろんプログラムで)。SFアニメなんかで、アナログっぽい雰囲気を出すためにあえてこんな感じの効果を使っているのを見ることがあります。例えば宇宙で、少し遠い場所からの通信とか。

 左下はブラー(blur)と言って、手ぶれ写真みたいな効果を出しています。あるドットを描くときに、元の画像の対応する点と、左上10点、右下10点の明るさの平均を求めています。左上、右下の点も参考にしながら描画する、という感じです。右下はエンボス処理をしています。エッジ(縁)を求め(Sobelフィルタというものを使った)、画像全体を一律に明るくすると、何となく浮き彫りみたいな効果を出せます。
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 この辺、分野としては画像処理と言います。数学が直接絡む処理も多いし、見て結果がハッキリ分かるので楽しいです。ロジックは今回ほとんど紹介しませんでした。C言語などで説明した本も多いですが、見て「おお、面白そう!」だけというのもたまにはいいでしょう……。近々第2回を書きます。