いぬおさんのおもしろ数学実験室

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移動平均とは何か

 コロナのニュースで「移動平均」という言葉を最近(?)聞くようになりました。何だろ?と思ったら、例えば最近7日分の感染者数の平均を毎日求めるようなとき、そう言うようです。確かに、1日ごとの変化を追いかけても、いろんな事情で変化の仕方は様々、偶然の作用もあるでしょうから昨日の700人と一昨日の710人を単純に比較しても意味がないのです。しかし7日間の移動平均なら。移動平均には1日ごとの何かの突発的な変化は大きくは影響しません。

 そう言えば、同じようなのが画像処理にもありました。前に記事にしてあります。 

www.omoshiro-suugaku.com

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犬の元の画像の胸の辺りを見てください。黒い点がいくつか打ってあります。画像に入ってしまったノイズと思ってください。平滑化は、例えば元の画像の各点とその周り、9点の明るさの平均値を計算して点を打つのです。つまり、1点だけ暗くても周りが明るければ暗い点の暗さは薄められるわけです。その結果右の画像のように黒い点が目立ちにくくなります。これは、1点だけに特別なことが起こっていても周りがそうでもなければ均(なら)されて、言わば1点だけの事情に振り回されずその辺の全体的な様子が分かることを意味します。おお、まさに移動平均ではありませんか!!
 さらにTVでは「7日間の移動平均」とか言っています。人間の行動はまあ7日で1サイクルみたいな部分はありますから、7日間の平均を取るのは妥当と言えるでしょう。