いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

自然界の真理を手に入れる!

 今回は肩の凝らない話を。ぼくは数学が専門ですが、物理・工学・天文学も大好きです。一番のきっかけは中学~高校で読んだ本です。今も毎月何冊かずつ出ていますが、講談社ブルーバックスなど、本当によく読んだものです。『四次元の世界』、『不確定性原理』、『素粒子論の世界』、『暦の科学』、『楽器の科学』、……一番楽しい時期だったかも知れません。今にして思えばどこまで理解していたのか甚だ疑問ですが、「大学に行ったらこういうことを勉強するんだ!」と、とにかくワクワクしていました。大学は理学部の数学科、物理学科、工学部の学科などいくつも受けましたが数学科しか受かりませんでした。結果、悪くはありませんでしたが、物理なら物理でもよかったのです。そういうわけですから、今でも物理や工学系の本はよく読みます。物理や工学の人の書く本はイメージが豊かで、数学の本だけを読むのとはまた違った勉強になります。それだけではなく、当たり前ですが数学をどこにどんな風に応用するのか、山ほど書いてあります。

 さて、例えば……最近何回かブログのテーマにしているFFT高速フーリエ変換。信号の周波数解析をします)。色々実験してみると大変面白く、音楽の高音の成分を消したり、ノイズをカットしたり、自然界の中の存在である音楽、音に働きかけて様々の調査やコントロールができます。少し大げさな言い方をすると「自然界の真理がひとつ明らかになった」と感じる瞬間です。(曖昧な表現ですが)音楽は様々の周波数のサインカーブの和になっていて(そのこと自体が驚きですが)、それらをFFTを用いてサインカーブの和に分解することができます。それで高音をカットなどできるわけです。FFTも「凄いなあ」と思うのですが、音自体も不思議です。数学の知識、FFTで細かな性質を理解したり変化させたりできるからです。数学はもちろんそうなのですが、自然界自体も精緻に作られているように思います。

 FFT(特に「フーリエ変換」)などの手法は先に挙げた啓蒙書にもたくさん出てきます(もちろん概要くらいですが)。読むと「ああ、そういうことをやると色々できたり、分かったりするんだ」となります。FFTが自然界の仕組みを理解する手段なら、啓蒙書たちは「そういう手段があるよ」と教えてくれるガイドブックです。啓蒙書には「この分野を勉強するとこういうことが分かるようになる」と書いてあるのです。

 まずは本を読む。どの分野のどの辺にどんな面白いことがあるのか、啓蒙書は教えてくれます。理系の分野なら、数学や物理、工学などの知識を使って具体的に様々なことが分かったり、できたりするようになります。専門書にはそのための具体的な方法が載っています。「自然界の真理に触れることができた!」なんて感じたら、もう勉強をやめられなくます。最近は若い人が余り本を読まなくなっている……などと聞きます。もったいないことです……。