いぬおさんのおもしろ数学実験室

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ラグランジュの未定乗数法(2)幾何学的に仕組みを解説

 ラグランジュの未定乗数法の第2回です。第1回は大分前、手順だけを説明しました。今回は理屈を解説します。条件 g(x, y) = 0 のもとで、z=f(x, y) の極値を求めます。図の細い線(f(x, y) = C1 など)は z = f(x, y) の等高線です。例えば f(x, y) = C1 は z = f(x, y) の、高さC1であるような (x, y) が描くxy平面上の図形です。

 図形 h(x, y) = 0 の点 (x, y) における法線ベクトルは ∇hなのでした。この事実を使います。∇hは

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で定義されます。∇は「ナブラ」と読みます。図を参照してください。

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f(x, y) の値を求めるのに使える点 (x, y) は曲線 g(x, y) = 0 上にしかありません。しかも、図の例えばA点でfが極値を取るならば曲線 f(x, y) = C1 はその点で g(x, y) = 0 に接しているはずです。理由を以下で示しましょう。

 f(x, y) = C3, f(x, y) = C2, f(x, y) = C1 とジワジワ右辺を増やしていったとしましょう(曲線がジワジワ動きます)。初めて曲線 g(x, y) = 0 と曲線 f(x, y) = (定数) が共有点を持つようになるのは右辺が C1 まで増えたときで(式は  f(x, y) = C1)、その曲線は g(x, y) = 0 と点Aで接することになるのです。なお、この点Aでは2曲線が接しているのですから ∇f と ∇g は平行のはずです(∇f 、∇g は法線ベクトルなのでした)。 

 従って、極値を求めるためには ∇f = λ∇g と 最初の条件 g(x, y) = 0 を連立すればよいのです。ここから

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 と導くのは易しいことです。その先、次の過去の記事に続きます。

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