いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

アポロニウスの円はどんな話の中で出てくるか?

 TVで「東京スカイツリー(634m)と東京タワー(333m)が同じ高さに見える場所」について話をしていた、と聞きました。「そういう場所は地図上で円形に分布しているらしい。なぜか」と。数学が好きな人なら「なるほど」となることです。

 数学に「アポロニウスの円」というのがあります。平面上の2点をA、Bとするとき、AP:PB=m:nを満たす点Pは円を描く、ということが分かっています。証明は数学Ⅱの教科書に載っています。具体的には、Pは線分ABをm:nに内分する点と外分する点を直径の両端とする円周上に現れるのです。1mの塔からの距離、2mの塔からの距離の比が2:1であれば同じ高さに見えるはず。同様で、スカイツリー(A点とします)と東京タワー(B点)が同じ高さに見える場所Pは、AP:PB=634:333 である点です。先の定理によれば、同じ高さに見える点はABを634:333に内分する点と外分する点を直径の両端とする円周上の点です。

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図でAP:PB=634:333、AQ:QB=634:333 です。Pは線分ABを634:333に内分する点、Qは線分ABを634:333に外分する点です。スカイツリーと東京タワーが同じ高さに見える点は図の線分PQを直径の両端とする円周上にあるのです。つまり、地図上では東京タワーを内部に含むがスカイツリーは含まないある円周上から2つのタワーが同じ高さに見えるのです!