中学生の頃、電子工作が趣味の友だちがいました。彼は「自分で回路の設計もできる」と言っていました。家が電気屋さんで、ハンダごてやテスターなどの道具、トランジスタや抵抗、コンデンサなど、部品も揃っていていろいろ教わることもできたんだと思います。ハンダ(半田)というのはスズと鉛の合金で、ハンダごてで溶かして部品をつなげることができます。当時『初歩のラジオ』、『ラジオの製作』という月刊誌があり、ときどき買って自分で電子工作をしていました。部品は秋葉原などのパーツ屋さんまで行って買いました。しかし……電子ブザーとかラジオとか、結構な数を作り、ハンダづけはうまくなったけれど、ただそれだけ。理屈は知らず本に載っていた回路図通りに組み立てていただけでは100年経っても何も分からないのです。どうせ趣味なんだからそれでもいいんですが、まあ面白くないのは確かです。
電子工作するなら回路の設計の仕方をきちんと勉強した方がいいでしょう。また部品をすぐそろえられる環境も必要です。知識を確実なものにするため、パッと実験できた方がいいからです。もちろんいちいちお金もかかります。従って、電子工作というのは(面白そうなんですが)趣味には向かないかも知れません(ハードルが高くて趣味としては大変、の意)。大学の電子工学科にでも入ればよいのでしょうが。
そこで、似た趣味(ものを作る、という点で)として、若い人にはプログラミングを勧めます。プログラミングとは……ソフト(アプリ)を書くことです。ノートパソコンが1台あればすぐに始められます。勉強のために本を買わなければなりませんがかかるお金はそれだけ。あ、ネットにつながる環境はないと不便です。しかしそれだけで事実上なんだってできますし、電子工作と違って「実験」もやり放題。プログラムを書いては動かしてみて何が起こるか実験。これの繰り返しです。頭も使うし、いいことばかかりです。便利なソフトが書けるとうれしいし、人にあげて喜ばれればなおさらです。プログラミングの分野にもよりますが数学のありがたみも身にしみ、コンピュータの中で何が起こっているか分かります。こんなにコストパフォーマンスのいい趣味は珍しいのです。
追記:ソフト上で電子工作をできるソフトもあるようです。