いぬおさんのおもしろ数学実験室

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『ガロアに出会う』を再び読む

 『ガロアに出会う』(のんびり数学研究会2014数学書房)を読み直しています。この本は数体(複素数体の部分体)に限って、5次以上の方程式には解の公式がないことを証明しています。以前このブログでも紹介しました。

追記(2025年10月19日):ノートを見直していたら、大事な定理「解がべき根で表せるならばガロア群は可解」は示していますが、「5次以上だとガロア群が可解でないことがある」については触れていないような……。何か気づいたらまた書きます。www.omoshiro-suugaku.com

一般の体での証明は一応読んで理解したつもりになっています。しかしこうして数体で、別の流れの証明を読めばまた他に得るものがあるかな、という考えです。数体上の多項式は分離的(最小多項式は重根を持たない)です。『明解ガロア理論[原著第3版]』(イアン・スチュアート2010講談社)には「ガロアは分離性の概念を明白には認識していなかった。なぜなら彼は複素数体上でのみ研究していたからである」とあります。感慨深いです。異なるテキストだと、用語や定理の微妙な違い、証明の順番の違いなどがあることが多いですし、著者によって重きを置く部分が違う場合もあります。そうした理由で、別の角度から同じ事実を眺めることができる気がします。「この定理はこういう意味だったんだ」と気づくこともあります。もうひとつ、この本では著者たちがガロア理論の本を書こうと思ったきっかけの説明もされています。三角形の面積を辺の長さで表す公式があります。ヘロンの公式です。三角形は円に内接しますから、ヘロンの公式は円に内接する三角形の面積を辺の長さから計算する公式と言えます。円に内接する四角形の面積を辺の長さから求めるのがブラーマグプタの公式です。では円に内接する五角形、六角形、……ではどうか。著者たちはガロア理論を用いて円に内接するn角形(n≧5)の面積を辺の長さから累乗根と四則で計算するのは不可能であることを証明したそうです。その辺の事情がいろいろ書いてあります。
 あと35ページくらいで証明が終わります。楽しい本で、ワクワクしながら読んでいます。あー、もう終わりだ……と寂しさが。こういうときって、多分一番力がついているのだと思います。