いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

「生徒に毎日課題を!」……ってどうなのか?

 学校ではどんどんタブレットなどICT機器が導入されています。ここ何年か、私立ですがどこへ行ってもタブレットタブレット、……。生徒に課題を出して回収するのもGoogleClassroomやロイロノート。これはアプリです。
 特にこの「ロイロノート」、なかなかよくできています。ロイロノート上で教師が課題を出し、生徒はノート(紙)に解いて写真を撮ってロイロノートに送ります。提出期限の設定もできるし、期限内に提出されたかどうかもすぐ分かるようになっています。授業の担当からクラスへの連絡も楽、生徒が自由に見られる資料も用意できるなど、多分教師の意見をいろいろ聞いて作ったアプリなのでしょう。いくつか不満はあるもののとにかく便利です。
 しかし何年か前のこと、せっかく便利なのに(ぼくの見たところ)教師側がロイロノートの使い方を間違えていて、課題を出すのも処理(評価)も大変だったことがありました。数日おきに課題を出すことに決まっていたのです。どんなに便利な仕組みでも「何だかいろいろできるからやってみよう」などという発想だとこうなる、というよい例だと思います。どうも彼らには「毎日課題を出すと学習習慣がつく」みたいな考えがあるようです。実際、そういうよい習慣がつくのかも知れません。でも教師自身も疲弊するのだということを忘れてはいけません。結局学期に60回も課題を出すことになり、評価は大変でした。生徒全員が提出するなら、点検はのべ60×40=2400人分です。いくらなんでもこれはありません。ものには限度があります
 ぼくが教員になったのはあちこちの学校でコンピュータが導入され始めた頃でした。当時まだワープロを使う教員も少なかったのです。いったんワープロで文書を作っておくと、以降それを一部編集するだけで別に使えます。これは便利です。ブラインドタッチができるようになれば書く速さも手書きに比べ桁違いになります。表計算ソフトやデータベースも、試験の得点を入力すれば生徒に向けて個票(各科目の得点、順位、偏差値などを載せる)も出せるし、その得点を成績をつけるときにもそのまま使えます。成績をつけること自体も楽です……と言うか、ぼくには手作業で成績をつけるなどちょっと考えられません。こうして仕事が楽になるならコンピュータを入れるのには賛成です。しかし、さっき書いた課題みたいにおお、これは凄い! こんなこともできるのか!?」という感じに次から次へと仕事を増やすような使い方は最低です。特に非常勤は基本的に1時間いくらで動きます。そういう事実を忘れ、非常勤にまであれもこれも、とやらせようとするのは間違いでしょう。課題の時には「『学期に60回の課題を出し、評価する手間に見合う効果がある』ということなら専任の先生が課題を出すのも評価もすべておやりになってください」と伝えました。
 何でもできるようになると、いろいろやりたくなるものです。それ自体は構いませんが、「他人を巻き込むな、自分だけでやれよ」ということなのです。無反省に仕事を増やしてはいけません。教員は今回の課題のように、「これが生徒のためである」という美名のもと、周りの教員に何かを強いることがあります。実際に効果がはっきりしていなくても「生徒のため」と言われると断りにくいものです。しかし断る自由はあります。効果も明確でない時間ばかりかかる作業は無駄です。教員なんだから、そんなことに時間を使わないで自分の勉強をした方がいいに決まっているのです。