いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

「証明」しない授業……

 高校は2学期の中間試験の時期ですね。現任校は偏差値はまあまあ。しかし過去の学校に比べると、どこよりも生徒のやる気(勉強を)がない印象です。
 ぼくの見たところ、学校の仕組みの問題で生徒にとって定期試験(中間・期末試験)より大事な試験があり(教員もそういう意識)、彼らは日頃の授業など大事とは思っていません。定期試験前にはそれなりに取り組むようになりますが、それだけです。試験前にどこかのクラスで配布された「試験対策プリント」みたいなものばかりに目を輝かせているのを見るとガックリきます。ぼくは試験など、定期試験もそれ以外も等しく大事と思うんですが。
 理系でも文系でも、学校によりますが(生徒が理解できそうなら)授業で定理の証明もするでしょう。しかし「偏差値はそれなり」なのに、学年にもよるのでしょうが用意されるプリントには証明はあまり書いておらず、公式の使い方の練習がメインです(授業は学年で共通のプリントでやることになっている)。短期間でとりあえず問題を解けるようになるのが目標ならそういうやり方もあるでしょうが、こうなるともう数学ではありません。こんな勉強の仕方では本当の意味の実力はつかず、理系に進んで大学で新しい数学に触れたときに手も足も出ないと思います。仕方がないから、高校の時と同じような勉強で何とか点だけは取れるようにして……ということになるでしょう。ぼくは生徒にそういう話を何度もしていますが、彼らには問題だという認識はあまりないようです。
 これ、多分まず学校の仕組みを変えないと直りません。しかし今、学校のやり方、教員の考え、生徒の発想がちょうどいいところ(いや、「悪いところ」か)でバランスしてしまっています。どこも「本校の教育方針を理解し、……」などと教員の募集要項に書きますよね。それならもう、ぼくがあれこれ言う必要もないのかも知れません。

 どうも過去、担当した教育実習生の感じを考えると、そういう方針の高校、大学が多いのかも……とも思います。