『教師の本音』(静岡の元教師すぎやま2025SBクリエイティブ)を一気に読みました。なかなか面白かったです。
10年間、中学校の先生をやった著者が教育現場、教育について書いています。ぼくは高校の教員ですしもちろん仕事の仕方など違っている部分はあると思うんですが、共感するところがたくさん。本によっては文体がぼくの感覚に合わず、読むのが辛い……ということがあります。この本は自然で大変読みやすかったです。著者が先生だったからかも知れません。
目次は以下の通り。
第1章 保護者への本音
第2章 学校現場の本音
第3章 働き方の本音
第4章 生徒が気になる先生の本音
第5章 教師への本音
第6章 持続可能な学校にするための5つの提言
世の中には「教員は楽だ」、「部活があると分かっていて教員になったのだからやるのは当たり前」など、単に知らないから勘違いしている人たちがいます。読んで欲しいです。モンスターペアレント、授業崩壊、ここのところ教員のなり手が減っている理由などについても、現場の経験がある人だからこそ分かることがかなり具体的に書いてあります。流行りの教育(アクティブラーニングなど)については著者の先生は賛成というか「正しいのだ」と考えているようです。ぼくは嫌いですが教員全員が同じ考えであるはずもなく、仕方なし。しかしとりあえずこの1冊を読めば教員がどんな仕事をどう考えながらしているのか、現場の様子、何が大変なのかなどがある程度分かると思います。
一点、気になったのですが「生徒会をやっても内申点は変わらない」のようなことが書かれており、これについては県によって変わるのかも知れませんが少なくとも経験では全ての公立高校でポイントになっていました。例えば生徒会長なら+2点、といった感じです。他、部活の××大会で××賞なら+1点、とか。こうして細かく点を決め、それが選考のどこかに関わるのです。
この本を読んで思い出したことを書いておきます。幸いぼくはメチャクチャなモンスターペアレントに直接関わったことはありません。しかし同じ学年の先生で、連日文句ばかり言われて「最近眠れなくなっている」と転勤の希望を出していた人がいました。同じ学校だと来年も同じ保護者と付き合わなければならない可能性がある、ということです。記憶ですが教員が「この成績では××大学は難しい」のように言ったことで生徒が傷ついた、みたいな話でした。受験指導をするのですから、こんな話はして当たり前です。誰でも同じ目に遭う可能性があるのです。こういうとき、学校(管理職)、県が積極的に教員を守るべき(もちろん客観的に判断した上で)でしょう。それができていないことが今、学校が「ブラック職場」と呼ばれる原因のひとつになっているのだと思います。文科省が教員の志望者を増やすために「教員採用試験を早めに実施せよ」など、いろいろ言っているようですね。違う、違う……。