いぬおさんのおもしろ数学実験室

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邪馬台国

 邪馬台国について書きます。邪馬台国は3世紀頃日本にあり、卑弥呼(ひみこ)という女王が治めていたと言われています。中国の『三国志』という歴史書の中の『魏志倭人伝』(ぎしわじんでん)(正しくは『魏志』30巻のうちの『東夷伝』(とういでん)の中の『倭人』の部分)に記述があります。ただ、他の本には記録がありません。もちろん日本の本にもないのです(そもそも日本にはそんな古い本がない! 古事記だって西暦712年です)。魏志倭人伝は古い中国語で書かれており、2000字足らずです。2000字と言えば400字詰め原稿用紙でたった5枚、しかしこれが日本で江戸時代の昔から論争の種になっているのです。邪馬台国はどこにあったのか、という議論です。大きく分けて九州にあったという説と近畿地方にあったという説があります。魏志倭人伝には今で言う韓国のソウルあたりから邪馬台国までのコースや方角と徒歩、舟で移動するのに必要な時間が細かく説明してあります。それでなぜ論争になるのかと思いますよね? 昔の本だし無理ないとは思うんですが、どうもこの魏志倭人伝、その部分の書き方が曖昧で、ことによると誤りもありそうな感じで、おとなしく書いてあることに従って進むと邪馬台国は日本のはるか南、太平洋上にあることになってしまったりするのです。方角、あるいは距離の記述に誤りがあるのかも知れませんし、当時の距離の単位、「里」が現在の何メートルにあたるのかもハッキリしておらず、今の読み手がこの辺で誤解している可能性もあります。なにしろ3世紀の本、たくさん載っている地名も今とはほとんど異なっており、読み進んでも日本のどこまで来ているのか分からないのです。
 ぼくが最初に読んだ邪馬台国の本は下の『邪馬台国はどこですか?』(鯨 統一郎1998創元推理文庫)。 

邪馬台国はどこですか?

邪馬台国はどこですか?

 

 話は大変魅力的です。手がかりはたったひとつ、3世紀の2000字足らずの文章だけ。邪馬台国はどこかにあったに違いないんだけれど手がかりは一見矛盾していてどこだかハッキリしない。いいですね。考古学や歴史の知識がぼくにあればもっと面白いと思うんですが。