Aをn×nの実対称行列、
を正規直交基底とします。
さて、応用ではよく対称行列が出てきます。このAに対し、|λI-A|=0(λのn次方程式。Iはn×n単位行列)の解をAの固有値と言います。そして、λに対し、Au=λu (u ≠ 0) を満たす u を固有値λに対応する固有ベクトルと呼ぶのでした。n次の実対称行列は実数の固有値をn個持ちます(2重解なら2個、3重解なら3個とカウント)。このとき、
最後の式は対称行列Aの固有値分解(スペクトル分解)と言います。この説明は以前にも紹介した『線形代数セミナー-射影,特異値分解,一般逆行列-』(金谷健一2018共立出版)によります。
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行列にベクトルをかける計算にはこういう意味があったのだ、と鮮やかにイメージできます。この本にはこういった話が満載です。
最後に備忘録を兼ねて、対称行列、固有値についてまとめておきます。
対称行列の性質 まとめ
●実対称行列の固有値は全て実数(固有値は0もあり得る)。
●相異なる固有値に対応する固有ベクトルは互いに直交する。
●直交対角化可能(直交行列で対角化できる)
●対称行列Aは A=Σλuu' と固有値分解できる。λは0でない固有値、uはそれに対応する固有ベクトル。ここで「'」は転置を表す。固有値には重解もあるかも。つまり例えば
●rankA はAの0でない固有値の個数に等しい。重解は重複度をカウント。