いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

試験にA4の紙を1枚だけ持ち込み可……はよいか?

 「定期試験のときに生徒が自分でまとめたA4の紙1枚だけは持ち込み可にしたらどうか」と言った先生がいました。「何を言ってるんだろ」と思いましたが、いや、よく考えてみると結構いいかも……。持ち込めるのは1枚だから、十分考えてまとめなければなりません。単純に公式を並べておけばよいということではないのです。公式の使い方も書いておきたいだろうし、スペースが足りなくなればより重要なものを残す作業も必要でしょう。他人がまとめたものを写せば楽ですが、分からない点は人によって違うのだからこれも単純に写すだけでは意味がなく、そういう面でもよいと考えられます。点を取れるようになるから……とかでありません。自分で勉強したことをまとめることが理解を深めるのに役立つ、ということです。でも2枚持ち込めば不正行為ですし、監督が大変かも知れません。それにそもそも紙に書くのでなく、頭に入れてくるのが勉強なのだ、という考えもあるでしょう。結局ボツになってしまいましたが、どちらが正しいのか分かりません。今回話は出ませんでしたが、単に「テキスト持ち込み可」という方法もあります。もともと数学は考えることが大事なのであって、知識の量に意味はない、知らないことは調べればよい、……という立場もあるわけです。でもこちらはよくないかも知れません。大学で語学の先生が「辞書持ち込み可」の試験をしていたのですが、「辞書を持ち込んでいいなら大丈夫、なんて思わないように」と言っていたのを憶えています。単語も関係する知識も大体が頭に入っていないと、特に短い時間では辞書も役に立たないのですね。A4にまとめさせるというのはその過程で頭の中も整理されて憶える助けになるでしょうし、そういう点でも優れた方法なのかも。

 ここ何年かはぼくも新しく勉強したことはある程度まとめて残すようにしています。年齢もあるのでしょうが、とにかく人間は忘れるものだと実感しているからです。勉強に使える時間にも限りがあります。一回考えて理解したことはできれば理解の過程を含めて整理しておき、同じことをまた考えないようにするのはいいことでしょう。