いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

電卓で、ルートキーを使って3乗根を求める

3乗根の話です。例えば8の3乗根というのは3乗して8になる数で、2です(実数の範囲では2だけ。複素数の範囲では2を含め、3つあります)。では10の3乗根は? 3乗して10になる数です。2だと3乗しても8、3だと3乗したら27だから大き過ぎ。2.××××……という数でしょう。これを電卓で求める方法を紹介しましょう。ルートキーのついている電卓を用意してください。スマホの電卓では「標準電卓」だとルートキーがなく、「関数電卓」だと高機能で数式をそのまま入力できるようになっていたりして、これから書く説明に合いません。できれば物理的なキーのついた、昔ながらの電卓がよいです。

 

次の操作をして下さい。


10√√×10=√√×10=√√×10=……

√√ と押した後の表示がだんだん安定してくる(あまり変わらなくなる)はずです。実際にぼくの電卓でやってみると……


10√√=    1.778279410
×10=√√       2.053525026
×10=√√       2.128751661
×10=√√       2.147985028
×10=√√       2.152820461
×10=√√  2.154031019
×10=√√  2.154333765(値が安定してきた)

 

以下ではxのy乗をx^yと表すことにします。

ここで、この最後の値を3乗してみると
2.154333765 ^ 3 = 9.998594708
おおっ、確かに10に近いですね。2.154333765は10の3乗根の近似値とみていいでしょう。さらに繰り返せばもっとよい値が求まります。どういうことでしょうか?

安定した値をxとしてみます。電卓の操作方法(「xに10をかけてルートを2回計算するとxになる」)から次の式が成立します。 

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両辺を4乗すれば10x=x^4
両辺をxで割って10=x^3
つまりxは10の3乗根なのです。

数学的には、この操作で本当に一定の値に近づくことを(数学の用語では「収束(しゅうそく)」と言う)きちんと証明しなければなりませんが、今はまあよしとしましょう。この辺の事情は高校で数学Ⅲまで勉強すると分かるようになります。ぼくはこの話を高校生の時『電卓に強くなる』(気賀康夫1977講談社ブルーバックス)を読んで知り、「これはすごい!」と驚きました。ルートキーさえあれば、3乗根のキーがなくてもいろんな数の3乗根が求められるのです。素晴らしい本なのに絶版。いい本がどんどんなくなっていく……。悲しいです……。

電卓に強くなる―すぐに役立つ公式と実例 (ブルーバックス (B327))
 

実はさらに、ルートキーがなくても四則(+-×÷)だけで例えばルート10も、10の3乗根も求められます。さっきの3乗根でもそうだったんですが、数学に漸化式(ぜんかしき)というのがあり、これを使います。ニュートン法と言います。こんな話もいずれ。