いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

『ニュートンに消された男 ロバート・フック』

ニュートンに消された男 ロバート・フック』(中島秀人2018角川ソフィア文庫)を読みました。

ニュートンに消された男 ロバート・フック (角川ソフィア文庫)

ニュートンに消された男 ロバート・フック (角川ソフィア文庫)

 

フックは細胞の発見者(細胞を初めて顕微鏡で観察し、記録を残した)、フックの法則の発見者です。フックの法則というのは、バネなどでは「伸び縮みの長さはかけた力に比例する」(F=kx)というものです。これはバネが100g重の力で1cm伸びたなら200g重では2cmのびる、という簡潔な事実を示しています。ニュートンはあの「リンゴが木から落ちるのを見て思いついた」という万有引力の法則(下の式)の発見者です。2人とも17世紀に活躍しました。フックの方が年上です。2人の間には先取権争いがありました。万有引力の法則は逆2乗則の一種です(分母にrの2乗がある。Fが万有引力の大きさ、M、mは2つの物体の質量、rは物体間の距離。Gは比例定数)。フックは「自分が逆2乗であることをニュートンよりも先に見つけていた」と主張しています。この本ではフックの研究者である(フック寄りだと思う)著者がこの件に関してはニュートンに軍配を上げています。数学の力は段違いでニュートンの方が上だったようで(相手がニュートンでは仕方のないことですが)、フックとしてはそれが辛かったかも知れません。2人が所属していたイギリスの王立協会にはニュートン肖像画はたくさんありますが、フックの肖像画は1枚もないそうです。王立協会の移転の時にニュートンが処分した、という見方があるようです。この本でははっきり結論を出していませんが、前に読んだ別の本には「ニュートンはその知力でフックの存在をなかったことにしようとした」という話がありました。
この本にはフックの父親の話なども書いてあります。ぼくはその辺はあんまり興味はないですが、特に万有引力の先取権争いの辺りは迫力があります。ぼくは数学や物理そのものも好きですが、数学史、科学史も大好きです。ニュートンその人の話を読んでもそれは万有引力の法則の理解とは別のことだけれど、それでも知りたくなるものじゃないかなあ……。それが理系の人間……という気がします。知り合いの英語の先生が「CAMBRIDGE」と書いてあるノートを使っていたので「ケンブリッジですか?」と聞いたら「そうです」と。ニュートンケンブリッジ大学(のトリニティカレッジ)出身です。ロンドンから電車で1時間弱。こんなことも書いてあります。