いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

写真から立体を再現(5) まだ途中ですが、勉強してみた感想など

 ちょっと一服。ここまでである程度基本的な事実の紹介、記号などを整理しました。このあと、空間の点と画像面に映る点の間に成立する等式

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の、ベクトルや行列を成分で書いた

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を用いて、まずはカメラ行列Pの内容を決定します。具体的には立方体など、形がハッキリしていて頂点の座標が明らかな立体の写真を使い、対応する空間の点と写真の点の組を6組使って連立方程式を立て、それを解いてPを求めるのです。行列の等式AX=0の非自明解Xを求めることができるのですが、これを利用します。

 テキストにはそうあるし、読めば「なるほど」です。勉強し始めた頃は、確かに写真が2枚あればおそらく立体は再現できそうな気はしていました。角度を変えて写真を撮っているわけで、立体の各辺の長さは2枚の写真の間で変化して見え、その変化の仕方から立体の頂点の位置が決まりそうだ、という感じです。ところが実際に勉強してみると大変です。使う数学は主に線形代数ですが忘れている部分も多く、また大学でやる内容とはテーマが違っていたり。例えば応用では特に対称行列についての理論が大事ですが大学ではあまりやりません(だから面白いとも言えますが……)。また3×3の行列の積から元の行列を求める必要があるなど、それだけでも大変だったりします。意外というか、「なんでこんなことがこんなに大変なの?」という印象です。それでも数学を使ってこんなこともできるんだ、というのは改めて感じました。こういうことがあるから数学はやめられません。数学に限らないでしょうが、勉強は楽なことばかりではありません。しかし、こうした応用の広さを見るととにかく先が楽しみで仕方ありません。

 

 追加。数学そのものではない、別のハードルがあります。まだきちんと考えたわけではないですが、アマチュアですし使えるカメラはスマホ1台、いったん位置を変えると再び元の位置、角度にセットし直すことはほぼ不可能です。何か器具を用意すれば別ですが。先の行列Pにはカメラの位置や向きもパラメータとして含まれていて、カメラを動かせばPも変わってしまいます。どうなるか。楽しみでもあります……。