いぬおさんのおもしろ数学実験室

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新制度大学入試、ポートフォリオ、進路指導

 大学入試制度が変わることになり、どうも「ポートフォリオ」なるものが大事……ということになってきているようです。あちこちのサイトを見ると……高校生活でどんなことがあったか、主体的に何をどうしてきたか記録しておく、それがポートフォリオです。そして、入試のときにそれを提出することを求められるのだとか。一般入試(普通に試験を受ける、あれ)では合否には関係なさそうですが、特に推薦では(どの程度かは知りませんが)積極的に使われるのだそう。「体育祭で××をやり、○○が△△となった……」なんて感じでしょうか。

 いや、そうしたいのなら仕方ありませんが、そもそも推薦入試では昔から教員が書く推薦書や生徒が書く志望理由書などには「1年生のときに××をやり、2年では……」と入れているのです。ドタバタ動いて大変なことになった英語の民間試験のことを忘れてはいけません。こんなことに全国の高校生が時間を取られ、教員もその指導に手間をかけるのです。他にやること、あるでしょうに……。

 学校も情けない。ぼくが生徒なら、ポートフォリオの話ばかりしている学校などには早々に見切りをつけると思います。「進路指導」と称して、まあ仕方ないのだろうけれど例えば生徒に職業調べなどをやらせたりします。受験雑誌ではそんな特集もあり、この類いの資料を参考にさせます。みなさんは職業っていったい何種類あるかご存じでしょうか。6万種類以上と聞いたことがありますが、先生たちはもちろんそんな事実は知らないかも知れません。いろいろな職業について詳しいわけでもないでしょう。実際には何万もある職業のうちのほんのひと握りしか知らないのではないでしょうか。ヘッドハンターという仕事があります。花屋さん並みではないでしょうが、有名な職業です。想像ですが先生たちは彼らの仕事の中身は知らないでしょう。いいんですか、それで……? まずはこういう事実を謙虚に受け入れなければなりませんその上で、もちろん何もかも全ての職業について……など到底できませんが、例えばその職業を扱った小説、映画、TV番組など、適切なものを学校をあげて積極的に紹介すれば、高校生は職業の具体的な内容、そして職業の調べ方について理解するはずです。

 進路指導、職業についてだけではありません。学校、教員は、流行りの何かに簡単に振り回されず、本質をきちんと押さえることが大事だと思うのです。