いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

ポケベルにパソコンからメッセージを送る

 もう20年近く前のこと。「ポケベル(ポケットベル)」というのがありました。ケータイやPHSが出回る前です。その辺の公衆電話などから決まった番号(114?忘れた)に電話をかけ、 メッセージを送りたい相手のポケベル番号を押します。続いて、例えば「あした」だったら「113241」と押します。今はスマホでフリックの人が多いでしょうが、ケータイと同じ入力方法です。すると相手のポケベルに「あした」と表示されます。このポケベルを高校生は大抵持っていて、公衆電話や家の電話から、お互いにメッセージを送っていました。1回に送れるのは平仮名で17文字(?)まで。しかも電話だから1回10円です。自分ではポケベルを持っていないのに友だちに「おやすみ」とか送っていた子もいました。トランプのケースの半分くらいの大きさで、高校生は「ベル」と言っていました。
 パソコンでできないかな、と思って知り合いにポケベル番号を聞いて、いろいろ実験させてもらいました。公衆回線(電話網)で使える「ATコマンド」というのがあります。例えば、パソコンから電話線に(電話機を使わずに)「ATD114」と(いうテキストを)送信すると114にダイヤル(プッシュ)されます。少し前のパソコンにはモジュラージャック(電話線の差し込み口)というのがついていて、電話機から外したケーブルをパソコンにつなぐことができたのです。もちろん、しかるべき方法でプログラムから「ATD114」を送信するわけで、手で入力するのではありません。続いて、パソコンに「あした」と平仮名で入力したら、これを「あ→11」「し→32」「た→41」と変換して(もちろんプログラムで)次々に送信します。最後に別のATコマンド、「ATH」を送信すると電話回線が切れます。これは回線切断の命令です。要するに普通は手作業のところをパソコンにやらせるわけです。初めてうまくいったときには「うわ、ホントに送れたよ……」と驚きました。当時公衆回線は「人間が作り出した地上最大のシステム」と言われていました。(どうだろ……今はインターネットか?)その公衆回線を相手に、家に居ながらにしてATコマンド一発でなんでもできる!と思ってワクワクしたことを覚えています。
 こういうときの勉強は本当の勉強になります。新しい分野の勉強を始めたときってこんな感じで、よいものですよね。