子どもの頃、BCLという趣味が流行りました。「海外からの短波放送を聞こう!」という、今にして思えば何だか不思議なもの。ネットで調べたら今でもあるようです。でもネットや衛星放送などの普及で短波放送は減っているみたいですが。昔はオーストラリア、フィリピンなど、あちこちから日本語で日本に向けてラジオで放送されていたのです。友だちがやっており、ぼくもラジオが欲しくて父にねだりました。しかし父は「ラジオを聴くなんて誰にでもできる。どうせやるならアマチュア無線にでもしたらどうだ?」と言いました。アマチュア無線というのは無線の免許を取って無線機で遠くの人と話をする、という趣味です。単純に「ラジオを聴くだけ=簡単」ってわけでもないと思いますが、まあ言わんとしていることは分かります。そう、面白いことは難しいことなのです。簡単な計算ばかりやっていてもつまらない! ハードルが低すぎては面白くありません。勉強と同じです。
……とは言え、BCLはBCLでいろいろ面白かったです。仲間で集まって話をして、放送を聴いて「受信報告書」を書いて海外の放送局へ郵便を送って「ベリカード」(「あなたが聴いたのは確かにうちの放送です」という証明のカード)をもらい、夜中の方が受信状態がよかったので真夜中とか明け方に頑張って放送を聴いて、……。違う世界を味わうことができました。「難しい」というのとは違いますが。