関係ないことは勉強しない。……貧弱でお寒い発想です。何度聞いたか分かりません。そういうとき、ぼくはときどき荘子の「無用の用」の話をします。
道を歩くとき、足の裏で踏む部分はわずかです。でも、だからと言って道が足の裏の部分しかなくてもいいというわけではありません。足跡の部分以外が谷底になっていたら歩けないでしょう! もちろん半分は冗談です。従って半分は本気です。
例えば高校2年生が以降、入試に必要なことだけを勉強するようにしたと仮定して、志望校に合格する確率は何%上がるのでしょうか。ひょっとしたら10%くらいは上がるのかも知れません。タイミングや運など、条件がそろえば1ランクか2ランク上の学校にも受かるかも!! しかしそれはそれだけのことでしょう。必要な科目だけ勉強して、つまり他のことはほとんどロクに知らずに大学に受かっただけ。実際には合格率には全く影響ないかも知れませんし、それにそもそもそういった発想で高校生活を送ってしまう生徒は、例えば「国立大学を受けるんだ!」と5教科7科目を必死で勉強している生徒あたりには気持ちの面で最初から敵(かな)わないのかも知れません。また、大学に受かっても、あるいは大学を出ても、その後何かを自分で勉強などしないような気もします。若くて頭も柔らかく時間も体力もあるのに、この恵まれた状況で勉強しないというのはあまりにももったいなさ過ぎに思えます。
哲学みたいなもので「こちらがよいのだ」という正解はないでしょうが、ぼくは若いうちにいろんなことをたくさん勉強するのがいいと思います。文系だからとか理系だからとかケチなことを言わないことです。そういうことを言う人って、まだまだ「××の科目は勉強しても意味がない」などと評価できるほどの勉強はしていない気がします。
ここでは一応大学の話を少し書きましたが、ホントはぼくはそんなのはどうでもいいと思っています。世の中は不思議なことだらけです。勉強すると、そういうことに気づくことができます。不思議な事実を見ると人間、理屈を知りたくなるものでしょう。理屈を理解するために勉強したくなります。……と、これが一番大事なんじゃないかなあ……。