いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

無限小数を100倍するには小数点を2桁動かせばよいのか

 例えば……

123.45454545……×100 = 12345.454545……

と誰でもやりますよね。でも、中学校の頃からこうやっているからこれで正しい、と思い込んでいるのでは? 本当にいいんですか、これで……?

 次は項の値が0~9の整数である数列です。

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この数列に対し、次のような和を考えます。

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この和は収束します。数列の各項は10未満ですから

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正項級数の収束の比較判定法、

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によって最初の和は収束するのです。この和は

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と書かれ、これが実数の10進数による表現なのでした。

 さて、収束する級数については次の定理が成立します。

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これによると、

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が成立します。つまり、100倍するには小数点を右へ2桁分移動すればよい、ということが分かるのです。
 123.45×100=12345 なら、(級数による表現で)有限項の和だから当たり前と言ってよいのです。これが無限項になっても成立する、というのが今回のお話でした!!