いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

目盛りを打たれたひもをグニャッとすると、もとの目盛りと一致する点がある

 タイトルだけだと分かりづらいですね。ちゃんと書きましょう。

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長さ1の、伸び縮みしないひもが2本あります。ひも上には0から1までの目盛りが細かく打たれています。一方を図のようにグニャッとさせ(こちらをひもBとする)、他方はまっすぐにしておきます(ひもA)。このとき、どのように「グニャッと」させてもひもA、B上の目盛りが上下で一致する点がどこかにあります。これを示してください。ただし、ひもBをグニャッとさせるのはひもAの左端と右端の間に収めるとしておきましょう。

 例えば図で点P、Qは目盛りがどちらも0.3で一致しています。このような点が存在するということを証明してください。

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 早速証明。図で、y=f(x)とおきましょう。ひもB上の目盛りからA上の目盛りを求める関数です。まず、f(0)=a、f(1)=bで 0<a<b<1 であることを確認してください。

 F(x)=f(x)-x とおきます。2本のひもの目盛りのズレをこれで調べます。ひもを「グニャッと」させたのだから、f(x)は連続関数(グラフが途切れない、ということ)です。だからF(x)も連続関数です(連続関数f(x)、xの差だから)。

F(0)=f(0)-0=a>0

F(1)=f(1)-1=b-1<0

なので、中間値の定理(記事の最後に定理を書いておきました)より0と1の間にF(c)=0 となるcが存在します。つまりf(c)-c=0。よってf(c)=c となり、これが存在を示したかった目盛りでした。

 

中間値の定理:

区間 [a, b] 上で定義された連続関数f(x)があり、f(a)<0、f(b)>0 ならば(a, b) 内にf(c)=0 となるcが存在する(不等号は2カ所の向きを入れ替えてもよい)。

 

中間値の定理、何となくでよいならほぼ当たり前っぽいですよね……。高校では「当然の事実」とした扱います。証明は大学の数学科で教わりますが、実数の性質に関する深い考察が必要です。