いぬおさんのおもしろ数学実験室

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ラグランジュの未定乗数法(3)幾何学的に仕組みを解説

  以前、変数が2つのときのラグランジュの未定乗数法について書きました。www.omoshiro-suugaku.comwww.omoshiro-suugaku.com

今回は変数が3つのときの話です。

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 制約条件 g(x, y, z) = 0 ……①(図の例では球) , h(x, y, z) = 0 ……②(図の例では平面) のもとで、f(x, y, z) の極値を求めます。 ①かつ②の表す図形は空間内の曲線(図の例では球と平面の交線の円)です。空間内の曲面、f(x, y, z) = c は、c をジワジワ増やすと(減らすと) ジワジワ動きます。そして、それがこの例では交線の円に接するとき、f(x, y, z) は極値を取ります(例えば、c をジワジワ増やしていって円に接したなら①、②は同時に満たされるわけで、しかもcは極小値)。∇f、∇g、∇hはそれぞれ曲面 f(x, y, z) = c、 g(x, y, z) = 0 、h(x, y, z) = 0 の法線ベクトルなのでしたから、 f(x, y, z) = c が交線の円に接するときには ∇f は ∇h、∇g の作る平面と平行のはずです。つまり ∇f=λ∇h+μ∇g が成立するはずです。これと g(x, y, z) = 0 、h(x, y, z) = 0 を連立すればfの極値の候補を与える (x, y, z) が求まります。

 この解説はほぼ金谷先生のテキストによります。何回読んでも勉強になる素晴らしい本です。 

これなら分かる最適化数学―基礎原理から計算手法まで

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