何年か前、高校2年の数学の試験問題です。
試験問題:
a + b + c = 0 ……① のとき、次の等式を証明せよ。
a(a + b) + b(b + c) + c(c + a) + ab + bc + ca = 0 ……②
生徒の答案:
a+b = -c, b+c = -a, c+a = -b
を②へ代入すると
a(-c) + b(-a) + c(-b) + ab + bc + ca = 0 ……③
-ac - ba - cb + ab + bc + ca = 0 ……④
0 = 0 ……⑤
よって②が示された。
採点のとき、ぼくが「結論の式から出発して議論している。減点にしますか? それとも少し甘くしてマルにしてしまいますか?」と聞いたら、ある先生が「この証明のどこが悪いんですか?」と。多分、答案の生徒は理屈は分かっているのだと思います。c = -a - b として(②の左辺)=a(a + b) + b(b + (-a - b)) +(-a - b)(- b) + ab + …… とやってしまう答案も多そうですが、これに比べると計算も少なくて済む賢いやり方です。
しかし、答案のような書き方は教員は絶対にしないはずです。この書き方はおかしい、と分かっているからです。……と思っていたので「ああ、こういう先生がいるんだ……」と久しぶりにビックリしました。正しくは
(②の左辺)
=a(-c) + b(-a) + c(-b) + ab + bc + ca
=-ac - ba - cb + ab + bc + ca = 0
などとすべきでした。
何が悪いのか。これから②を示そうとしているのに、答案の書き方では②を仮定して議論しているように見えるからです。そして⑤は「0=0」です。見た人に「いったい何をしたいの?」と言われるのでは? せっかく書いたこの答案を生かすなら、②、③、④、⑤の間に「⇔」(同値の記号)を入れ、最後に「⑤は成立している。だから同値の記号を辿って②も成立する」とでも続けることでしょう。これなら完璧で、誰も文句はつけられません。
甘く採点してマルにするのもよいと思います。が、教員が正しい事情を理解しているのが大前提です。その上で「実はよくない書き方だけれど甘くしよう」「ここは厳しく減点だ」とか判断するのが正しいやり方だと思います。「これは正しいでしょ、マルです」では話になりません。
追記:こういう教員には「あなたは証明をそのように書くのですか?」と聞きたいです……。