いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

画像処理の話

 写真の1枚目と2枚目の写真、何が違っていると思いますか? 2枚目は1枚目より見づらい感じです。でもぼやけてるわけではない。2枚目のような画像は「コントラストが低い」と言います。コントラストとは画像の最も明るい点と暗い点の明るさの差。平たく言うと、2枚目はどこもかしこも近い明るさなのです。

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画像の種類によりますが、通常、画像の各点の明るさは0~255の整数値で表します。これを80~180に圧縮したのが2枚目です。例えば1枚目のある点が60の明るさだとしましょう。60/255=0.235なので、その点は2枚目では(180-80)×0.235+80=103.5の明るさになります(下の図を参照)。

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一般に、1枚目で明るさx(0≦x≦255)の点をy(a≦y≦b)に変換するとき、yは次のような式で求められます。使っているのは単純な比例の計算です。
 3枚目の写真(下の写真)は、各点の明るさが本来256段階(0~255)なのを、0,60,120,180,240の5段階にしたもの。例えば134、156の明るさの点は同じ120にしています。アニメの色塗りみたいになります。

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 4枚目(下の写真)は「先鋭化(鮮鋭化)」という処理をしています。今回は説明は省きますが、ぼやけた画像でエッジ(輪郭)部分の明るさの変化を強調することによってピシッとはっきりした画像にするのです。1枚目と見比べればどういうことか分かるでしょう。

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 ドラマ『科捜研の女』ではよく主人公の榊(さかき)マリコがPCに向かってオペレーションしている若い研究員に「××君、この部分を鮮明化して!」と指示したりしています。これです。こうした画像処理は、もちろん魔法ではありませんから画像にもとから含まれていない情報は引き出せません。エッジを求めるのに必要な情報が含まれていないときはエッジはきちんとは求まらないのです。他の情報に埋もれてしまってよく分からない状態の写真を、人間に見やすくするのです。