いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

『ガリレオⅡ』DVDBOX、科学的とは

 少し前、DVDBOXを買いました。『ガリレオⅡ』です。帝都大理工学部物理学科の准教授、湯川学(福山雅治)が刑事の岸谷美砂(吉高由里子)の求めに応じて不思議な事件の捜査をし、物理学の知識を用いて次々に解決します。原作は東野圭吾。第1シーズンでは刑事が内海(うつみ)薫(柴咲コウ)で、個人的には柴咲コウの方が合っている気はするけれどまあよし。湯川先生が学生だった頃から大学の助手だった栗林さん(渡辺いっけい)など、面白い設定もあります。湯川先生は子どもや素人相手でも容赦せず「科学とは……」とか本気で説明するなど、変わった人なんですがその主張は傾聴に価します。結構重たい動機の殺人もありました(『聖女の救済』とか……。『聖女の救済』はこれだけで1冊、原作が出ています)。

今回のDVDBOXには入っていませんが、ガリレオシリーズでは『容疑者Xの献身』(東野圭吾2008文春文庫)が一番よかったです。DVDも出ています。天才数学者が出てくる、気の毒な話です。何年か前にはロケ地(都営新宿線浜町駅周辺)も見に行ってきました。

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

 

 湯川先生みたいな人もいるのに(架空だけれど)、世の中には非科学的なことを堂々と言う人もいます。ぼくは科学が万能、全能だとは思っていませんし、実際そんなこともありません。ちょっと台風が来ればアッという間に電車は止まってしまいますし、自分たちで宇宙に飛ばした探査機のコントロールすら難しいのです。でも「だから科学はダメなのだ」なんて単純なことではありません。大事なのは事実に基づいて議論しているか、正しい推論をしているか、分かっていることといないことを明確にできているか、……といったことでしょう。科学的とは、物理の公式を覚えていることでも原子量を暗記していることでもありません。物事を考えるときの姿勢を言うのです。