いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

電子顕微鏡ツアー参加希望者は何人か?

 もう10年近くも前のことです。某高校の2年生全体に電子顕微鏡見学ツアーのアナウンスをしました。生物のA先生の企画です。午前中は大学で電子顕微鏡を見て、午後は新しい3Dの技術を教えてもらえる、という素晴らしいもの。バスをチャーターします。しかし!!! 参加希望者がたったの2人で計画は流れてしまいました。360人中の2人。ぼくはどうしても連れて行って欲しくてA先生にお願いしていたのです。電子顕微鏡なんて一生触ることができないかも知れないからです。そうしたらたったの2人。もうこうなると「理系」を名乗るべきではありません。いや、文系だって同じです。ぼくは「好奇心というものが全くないのか?」と思いましたし、生徒にもそう言いました。こりゃダメでしょう……。

 「赤点さえ取らなければいい」とか「数学は受験科目にないから勉強しない」なんていうのはつまらない考え方だと思いますし、「そもそもそういう発想が現在の自分の作ったのかも」という視点を持つことは大事でしょう。でもそれよりも、これはもっとまずいことだと思います。好奇心、不思議なことを不思議だと感じる気持ちというか、そんなものが全く伝わってこないのですね。

 でも生徒だけではない、学校も悪いのです。ふたこと目には「受験、受験」、「部活をしっかりやりなさい」。こればっかり。せっかく楽しそうな企画があったのだからそれこそ学校を挙げて騒いだってよかったかも知れないのに……。ぼくは「ひょっとして生徒が集まり過ぎてバス1台で収まらなかったらどうするんだろう」なんて心配までしていたんですが、そんな心配は全く無用でした……。A先生に聞いたら「そのときはもう1台用意するか、抽選かなあ」と言っていました。あ~あ。