前、コンデンサを含む回路の過渡現象で流れる電流の向きの決め方について書きました。どうもこの辺を勉強する人で悩んでいる人は少なそうです。テキストもあまり触れていません。でも、ぼくは勉強し始めの頃さんざん迷いました。困っている人もいるかも。すでに記事にまとめてあります。
今回も同じような感じの問題です。コイルが含まれる回路で、起電力の向きについてやはり迷ったので、ここではっきりさせておきます。
今まで電池がつないであり、電流が流れていたとします。電池を切り離し、上の図のような回路にします。最初、電流が流れていますが、そのうち流れなくなります。図に電流、コイルに発生する起電力、抵抗の電圧降下を描き入れました。
電流は上向きとしています。抵抗のところでは電流の向きに Ri だけ電圧降下するのでした。Lのところでは起電力が発生します。それが図の
です。電流が減少しているなら Δi< 0 であって、上の式によると起電力はプラスになり、矢印の向きに回路をたどるとLを通り過ぎたところで電位が上がります(Lのところに電池(右が+極)があると思えばよい)。コイルは電流の増加、減少を妨げる向きに電流を流そうとする働きがあるのでした。Δi < 0 、つまり i が減っているなら起電力は右向きになるということで、議論の正しさが分かります。
これで解決。上の図を覚えておくだけです。念のため、上の回路で成立するキルヒホッフの法則(起電力の総和=電圧降下の総和)は次の通り。
いったん理解したら迷う必要はありません。電流の向きを決め、単純にその向きの起電力と電圧降下を上のように書き込むだけです。
ぼくは(負の可能性もある)変数を相手にするときによく分からなくなりました。コンデンサのときもそうでした。こういう(細かな)ことを気にする人(生徒)は一定数います。それは多分「ちゃんと分かりたい」と思っているからです。物理の先生は丁寧に教えてあげてください!