いぬおさんのおもしろ数学実験室

おいしい紅茶でも飲みながら数学、物理、工学、プログラミング、そして読書を楽しみましょう

『フェルマーの最終定理』紹介

 数学の中に350年間正しいかどうか不明だった予想があります。「n≧3のとき x^{n} + y^{n} = z^{n} を満たす自然数の組x,y,zは存在しない」というものです。弁護士でアマチュア数学者だったフランスのフェルマーディオファントスのテキスト『算術』の余白に「この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる」と書き残しました。今では、フェルマーの勘違いだったことはほぼ間違いない、ということになっているようですが、状況が状況なのでプロアマ問わずたくさんの人間の興味を引いたのです。しかしだれも証明できませんでした。ようやくワイルズが証明したのは1995年のことです。しかし少し経って誤り(ギャップ)が発見されます。彼は教え子のテイラーの協力も得ながら、1年ほどかかって正しい証明を発表します。ワイルズの苦悩がリアルに書かれていて、ここが一番盛り上がるところです。圧巻です。  この本はかなりのページをワイルズの苦闘に割いています。数式はあまり出てきません。数学の用語は出てきますが、一般向けの読み物ですから「読めないかも」といった心配は要りません。著者のサイモン・シンはこういった科学的な話を丁寧に、面白く書くのが上手です。

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

ぼくは他にもこの人の『暗号解読(上・下)』(サイモン・シン2007新潮文庫)を読んでいますが、こちらも分かりやすいし面白いです。

 別の本(野崎昭弘先生かな?)で読んだ話ですが、大学の試験で「私は真に驚くべき証明を見つけたが、この答案用紙はそれを書くには狭すぎる」と書いた学生がいたとか。アハハ……。センスある!